豊島氏(つづき)
Wikipediaの記載によれば、豊島氏は徳川氏の300年よりも長きにわたって現在の東京に当たる地域を治めてきた氏族であることが知れよう。なお、Wikipediaによれば、豊島氏は武家と分類されているが、武家とは鎌倉幕府成立後にできた身分?制度?であり、鎌倉幕府ができる前から勢力を作ってきた豊島氏を武家とするのは適当ではなく、私は、豊島氏は開発領主であったと考える。小説でしゃくじんの宿る青い石があったのは、現在の上中里付近の平塚神社であるが、平塚神社は豊島氏の館跡と考えられている。また、上中里という駅名の中里とは、当時の武蔵国(現在の東京+埼玉)の中心街という意味である。豊島氏の豊島という名称は、豊島氏の発祥地である現在の東京都北区豊島町の地域が当時(およそ1000年前)から豊島と呼ばれていたことによる。豊島とは、島が豊か(多い)という意味であるが、当時からそのあたりは低地の平原で、荒川、中川、渡良瀬川、利根川など、いくつもの大河の氾濫原で交通の難所であり、中洲(島)がたくさん見えたからだとされる。小説の舞台となる梶原商店街は、東京都北区堀船町にあるが、流路を変えられて隅田川にそそぐようになった石神井川に隔てられた堀船町の隣町が豊島氏が発祥した豊島町なのである。ここに、しゃくじんとの因縁を思い描かずにはおられないのである。