時代錯誤?
柔侠伝感想続きです。 厳密に言うと柔侠伝は柔道漫画であって柔道漫画に非ずといったところですか。 これは柔侠伝シリーズ全般に通じることですが主人公の敵は社会的弱者を虐げる権力者たちです。 ある意味三国志演義や水滸伝に通じる義侠心を持った男たちと言えます。 でもおっちょこちょいで美女に弱いという人間臭さも魅力でもあります。 最初の主人公である柳勘九郎は柔道の総本山である講道館に決闘を申込みます。 しかし講道館は申込みをはねつけます。 同時に講道館の門下生で親友となる矢崎正介と妹の千鶴との出会いで自分の生き方に疑問を持ち苦悩します。 第一巻のエピソードで特に印象的だったのが勘九郎が泣いたシーンです。 近代日本史的にも有名な日比谷焼打ち事件がありました。 これは日露戦争後の講和条約であるポーツマス条約の内容に不満を持った民衆が抗議のため起こした騒動ですが、勘九郎はそれに巻き込まれたかたちとなりました。 勘九郎は見境がなくなった約人が女子供を殺そうとしたところを救っただけなんですが。 このときの保釈に正介と講道館が一役買ったわけですが勘九郎はそれが気に食わない。 そんな勘九郎に千鶴は時代おくれである、了見が狭いと言って去っていきます。 千鶴の言葉と逃げまとう民衆を思いひたすら泣く勘九郎… 勘九郎と千鶴はお互いに惹かれあっていますが、このエピソードがのちの伏線になっているのかな… まあ今はまだ語れませんが。 といったところで次回へと続きます。