卒業マラソンの悲劇
小学生の子どもが、寮の先生と卒業マラソンをすることになった。担任としては、WITHの精神で一緒に走るしかないだろう。子どもを励まし、ゴ-ルまで導くのが自分の役割だ。雪の中、千葉ポ-トタワ-を出発した。マリンスタジアムまでの往復20kmを走るのだ。今年度、一度も走っていないが大丈夫だろう。最初の10kmは何とかついて行けた。13kmを過ぎてから足が動かなくなった。子どもたちからどんどん遠ざかっていく。やばっ!自分のプライドが許さない。でも簡単に足の方は許している。とうとう置いて行かれた。ゴ-ルの千葉ポ-トタワ-までの道が分からない。いろんな人に尋ねた。「まだまだ遠いですよ!」「寒くないですか?」どうやら自分はランナ-には見られていないようだ。ただの困ったおじさんになっている。雪が降っているのに傘もささずにポロシャツ一枚で歩いているからか・・・千葉みなと駅が見えてきた。どうやら遠回りをしたようだ。泣きたくなってきた。でも大人だから泣けない。歯をくいしばって歩いた。とうとうゴ-ルのポ-トタワ-が見えてきた。最後くらいは残りの力を振り絞ってかっこよくゴ-ルを駆け抜けよう。子どもたちはすでにゴ-ルしているはず。頑張っている自分を見てもらわなきゃ!そして走った。もうゴ-ルは目の前だ!あれれっ!?誰もいない・・・。怒りがこみ上げてきた。何でやねん!!遅くても温かく迎えてあげるのが大事やろ!と一人でつぶやく。でもいつまでたっても来ない。不安になってきた。15分後、子どもたちを乗せた車が来た。さっきまでの怒りが感謝の気持ちに変わっている。自分が道端で倒れていないか心配して探しに行ってたらしい。もう今日のことは早く忘れよう。