テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:ミステリー
たぶん今さら『Rの刻印』ネタを書いても誰も読まないだろうけど、この前の『Rの刻印』―続・犯人はアラビア語をしゃべれない― って記事を書いてから、僕の中の栗山熱が上がってきたりしてるんでまたぞろ書いてしまった(^_^;)
『Rの刻印』を「アンクの書」まで一度読んで素直に浮かぶ犯人像といったら、 「女王のプレート捏造事件の真相を闇に葬ることを望む人物」 っていうのだったんだ。 そうなると「女王のプレート捏造事件」の主犯の栗山義朗が一番に思いつくわけなんよね。 岸も共犯ではあるけど、岸は「女王のプレート捏造事件」を知ってただけで実際には何にもしてないし、いわばテレビ局の「やらせ」をやっただけで、こんな「やらせ」は実際の事件としてもしょっちゅう起こってて報道されてるもんね。 捏造事件が明るみになると、そりゃぁ岸のキャリアは終ってしまうだろうけど、それだけの事のために殺人は犯さないと僕は思う。 そりゃぁ、そうとも思わない人も居るだろうけど僕はそう思う。 一方栗山は、「女王のプレート」に刻まれたハトシェプストとセンムトとの禁断の愛の物語まで自らでっちあげ、プレート制作の全ての指示を出した上に盗掘の過程まで練り上げてたんだもん、間違いなく刑務所行きでしょう! どんな罪状が適用されるのかは分からないけど、二つや三つの罪では立件されちゃうんじゃないかな。 しかも、それだけにはとどまらず20年以上かけて自らの手で開拓した東和大学によるエジプトでの発掘権を失ってしまうのも明らかだもんな。 まぁ、そんなんだから栗山ってのは格好のミスリードって事もいえると思うけど、 ”なんか、変な事ばかり考えてたから最後ぐらいせめてちゃんとミスリードされてやろう!”って気もあるしね。 で、細かい犯行の手順は、もう逮捕状も書かなくても良いんだから書かないけど、栗山が犯行を行う事についてのネックになってる350p、351pのアリバイ表を本文中の出来事と矛盾しないように読む方法を書くね。 というのが270p~273pに3月20日の夜の7時に昇平のマンションの部屋に辰平と麻子が行ってる事が書いてあるよね。 この事は一見するとアリバイ表と矛盾してるように見えるんだけど、この事を矛盾なく説明出来るアリバイ表の読み方を示し、そのことから栗山の犯行を説明しようと思う。 まずアリバイ表の説明をするにあたって表内の記述に名称を付けるね 『枠』→容疑者が何をしていたかの説明文を記した四角い枠。 『。文』→『枠』内の説明文の中の『。』句点で区切られた一つの文章。 『欄外時刻』→アリバイ表の上部の欄外に書いてある日付と時刻。 『時刻線』→『欄外時刻』から直下におりてる時刻を表わす細いライン。 『移動線』→各容疑者の『枠』と『枠』を横方向に結ぶグレーの太いライン。 ◎1、『枠』の時刻は厳密ではない。 『枠』の時刻はその大まかな時間帯を示してるだけであって厳密な時間ではないんだ。 『枠』を構成してる右側の縦線はほとんどの場合『時刻線』と重なってるよね。 これが正確だとしたら『枠』内の説明は、ほとんどが0分ジャストか30分ジャストに始まることになっちゃうんだよね。 351pの浦永、榎田、辰平の3人の『欄外時刻』6:30からの『枠』の説明文には「6:20~6:50」と明示されてる。 つまり、6:30の時刻線から始まる『枠』なのに6:20からと指定されてるんだ。 時刻を正確に示したいときには『枠』内に記してあるってことだよね。 350pの岸、浦永、榎田、辰平の22:00の『時刻線』のすぐ右の『枠』の最後の『。文』は「22時00分解散。」となってる。 これなどは22:00の『時刻線』に『枠』が重なってるのだから「22時00分解散。」なんて説明文に時刻は必要ないはずなのに書いてある。 つまり説明文に時刻指定がない場合はほぼの時間帯しか表わしてないってことなんよね。 ◎2、『枠』と『。文』の意味の違いを理解する。 350pの榎田と辰平の二人の16:00の『時刻線』から始まる『枠』には 「21日の撮影準備のため、機材チェック。」という一つの『。文』だけが、一つの『枠』の中に書かれている。 ところがその左の『枠』の中には 「2人で夕食。」と「食事の流れで、そのまま一緒にはなしこんでいた。」という二つの『。文』が一つの『枠』の中に書かれている。 これね、同じ榎田と辰平の二人の『枠』の連続なんだから、上の三つの『。文』を二つの『枠』に分けないで一つの『枠』の中に書いても良いように思うでしょ? でも、実際には二つの『枠』になってるのには意味があると思うんだ。 『枠』と『枠』の間には『移動線』が入ってるでしょ。 つまりね『枠』をまとめるかまとめないかは、この『移動線』があるかないかの違いになって、これは大きな違いなんだ。 この『移動線』の部分では榎田と辰平のお互いがアリバイを証明出来ない時間が存在するってことなんだ。 つまり「機材チェック。」から「2人で夕食。」のあいだにアリバイの無い時間帯が存在してる事を、この表はしっかりと表わしてるってことなんだ。 これは余談なんだけど、この時間帯というのはバンダルの死亡推定時刻内であるから榎田も辰平もバンダル殺害に関してアリバイは無いということになる。 作者にその意図がないのであれば『枠』を一つにしてたに違いないもんね。 しかも、バンダルが犯人のところへ殺されに行ったと考えれば、時間は5分もあれば充分かも知れないもんね。 なんて話は栗山犯人説にとっては余談なので、そんなには掘り下げないでおこうっと。 で『枠』と『。文』の関係を350pの岸、浦永、榎田、辰平の『時刻線』18:00以降の2つの『枠』と5つの『。文』について見てほしいんだ。 まず『時刻線』19:00からの『枠』の中には4つの『。文』が書かれてる。 で、その一つ手前の18:00からの『枠』には 「機材搬入開始、カルナック神殿へ出発。」という一つの『。文』だけが書かれてる。 さて、この5つの『。文』を一つの『枠』にまとめないで、1つの『。文』の『枠』と、4つの『。文』の『枠』に分けるなんて妙な事をした作者の意図なんだけどね これは、2つの『枠』のあいだに『移動線』を入れるためだったんだよね。 その『移動線』の入ってるのが『時刻線』19:00の部分なんだ。 この3月20日の19:00、つまり夜7時というのは最初に書いたアリバイ表の最大の矛盾点なんだよ!↓ 「270p~273pに3月20日の夜の7時に昇平のマンションの部屋に辰平と麻子が行ってる事が書いてある」 ねっ、上のような厳然とした事実があるんだから、『枠』を19時のところで2つに分けて、そこにこの『移動線』を入れる事はどうしても必要だったんだ。 アリバイ表では19:00ジャストにはカルナック神殿には到着してるように見えるけど、「◎1」でこのアリバイ表の時刻が厳密でないことは述べたよね。 だから、この表と本文の事実から何が起こったのかを類推すると 岸、浦永、榎田、辰平の4人が18:00頃にカルナック神殿へ向かってルクソール西岸のレンタルマンションを出発したのは確かだけど、辰平は途中で分かれてマンションに引き返したと考えられる。 そして19:00に昇平の部屋へ入り麻子と待ち合わせ昇平と電話で話をして、その後マンションから自力(タクシーか、何か)でカルナック神殿に向かったと思われる。 ◎3、『枠』を連結するためと思われる~線とそのあいだに何故か存在する『移動線』の意味を考える。 350pの栗山、園咲、麻子の一番左の『枠』に 「考古学会に出席した他の発掘調査隊と食事~飲み会。3人とも一緒だった。」とある。 で351pの栗山、園咲、麻子の一番右の『枠』に 「飲み会が終って東和セカンドハウスに戻ったのは深夜1時。」とある。 で上の2つの『枠』は見開きの左右のページにまたがってるために2つに分かれてるだけであって、本来なら連続した1つの『枠』である事を表わすために、その2つの『枠』の向かい合ってるところを合体を意味する波線で表現してるんよね。 ところがね、もしそれだけの意味なんだったらこの波線のあいだに『移動線』は必要ないんよね。 これ、栗山、園咲、麻子の3人分、ちゃんと3本の『移動線』が入ってるんよ。 『移動線』があるいじょう、この『枠』の中には、3人それぞれに席を外したことがあるって考えるしかないんよね。 しかも、その席を外した時刻が3人まちまちであることを表現するための波線だと考えられる。 で、麻子は19:00頃に席を外したってわけだ。 最初に書いたこれね↓ 「270p~273pに3月20日の夜の7時に昇平のマンションの部屋に辰平と麻子が行ってる事が書いてある」 ではあるんだけど、席を外した程度でルクソール西岸のレンタルマンションに行けるかどうかってことなんだよね。 だけどね、これは僕の想像じゃぁなくて現実に行ってるわけだからしょうがない! クレームがおありだったら作者先生に言ってください(^_-) でね、現実に行ってるわけなんだけど、この食時会の場所がどこであるかは、この本のどこにも書いてないんだよね。 ちゅう事はこの食事会をおこなれたレストランは昇平の部屋のあるルクソール西岸のレンタルマンションの中にあったのかも知れないよね。 このマンションは下駄履きマンションで上層階はマンションで下層階にレストランなどが入ってたのかも知れない。 それだったら、辰平に呼び出された麻子は、ちょちょいと階上にあがって昇平の部屋に行き、また食事会に戻れば手洗い程度の席外しですむもんね。 で、それから起ったことなんだけど 「考古学会に出席した他の発掘調査隊と食事~飲み会。3人とも一緒だった。」 この上の説明文の「他の発掘調査隊と食事~飲み会」という文章なんだけど 「他の発掘調査隊と」の修飾は「食事」には掛かるけど「飲み会」には掛からないのではないかと思う。 そうだとすると「他の発掘調査隊と食事」を済ませたあと、栗山、園咲、麻子の3人で別の場所に「飲み会」に行ったとも解釈できるよね。 で、その場所がルクソール東岸のホテルラムセス内にあるバーラウンジだったり居酒屋だったりしたんじゃないだろうか。 この日の朝、昇平は犯人にホテルラムセスの部屋番号まで教えて夜11時の犯人の来訪を待ってたんだよね。(269p) つまり栗山は、昇平を拉致するためにホテルラムセスに行く必要があったんだ。 しかも、ルームサービスの電話を掛けるだけとか、昇平を駐車場まで運ぶだけとか、細かく席を外して手洗いに行くような短い時間を何度か使って犯行を行ったに違いない。 飲み会で手洗いに何度も行くのは自然なことだし栗山は年齢も行ってるし、よけいに自然なんじゃないだろうか。 読まれた方からのたくさん、たくさんの突っ込みを期待してるんだけど、まず、ここまで読んでくれた人は片手で数えるほども居ないだろうな…。 さらに、このつたない文章の意味をわかってくれた人は、そりゃぁもう限りなくゼロに近いに違いない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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