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2009年02月24日
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カテゴリ:ミステリー
このあいだの記事『Rの刻印』 「日本での厄介事」から思ったこと。で僕が勝手に決め付けた作者の意図からの犯人探しでたどり着いた『榎田日出之』!!

出来た~!!(^^♪

とうとう、ちゃんとした推理が完成したよ~(^^♪

榎田がついたとっても重要な嘘を見つけることが出来た!

それと今まで事件全体を合理的に説明できるストーリーを作れなかった問題点も全部解決したよ。

だぁれも読まなくても構わないし、とにかく嬉しいから忘れないうちに、長くなっても平気だし全部書いてやる!(^^ゞ

[1]榎田の嘘。

―2月23日22時40分頃、伊野部に掛かってきた電話について―

この電話が掛かってきたときにベリーダンスショーが開催されるラウンジに残っていたのは350ページのアリバイ表から

榎田・輪島・浦永・光葉の4人だけなんだ。

残りの6人はアリバイ表の中に時間指定付きで、伊野部への電話以前に自室に引き上げてる事になってる。

348ページのアリバイ表の正しい読み方は過去記事の『Rの刻印』―栗山犯人説―に書いた。

174ページと175ページの『ジャバルティ警部による事情聴取での発言』でも当然の事ながら上の6人は伊野部への電話については触れてないからね。

この『ジャバルティ警部による事情聴取での発言』は「見雲間が録音していたレコーダーの内容を忠実に書き取ったものである」となってるので信じて良いものなんだ。

この発言集には最初にこう書いてある↓

●ジャパルティ警部の質問:
 『【伊野部吾郎殺害事件】に関して、気になることがあったり、怪しいと思う人がいたら教えてください』

上のこの質問に対しての4人の解答で伊野部への電話についての発言に不合理を見つけたんだ。

○浦永の発言は、発言のすべてが伊野部への電話のことで『電話の相手が怪しい』として『これは榎田とも共通意見です』と言ってる。

 ただしその様子は『電話に出て、そのあと慌てた様子で会場を去っていきました。』とだけ言ってる。


○榎田は、伊野部への電話の様子を『電話に出た伊野部さんが妙に緊張した受け答えをしていたので電話の相手が怪しいと思います。』と言ってる。


○光葉はビバルディ発言のあとに『電話に出た伊野部さんが緊張した表情だったので気になりました。』と言ってる。


○輪島は、伊野部への電話の事には一切触れずに、おみやげを売りに来るボートの中に犯人がいたのではないか?みたいなとぼけた答えをしてるんだ。


これだけでは、どこが不合理か分かりにくいと思うけど、この4人のうちで榎田と輪島の2人は伊野部の近くにいたんだ。

実際、伊野部は電話を切ると榎田と輪島の2人に対して

「ちょっとお客さんに呼び出されたので、行ってきますわ」と挨拶してから姿を消したわけだもんね。

つまりね、ダンスフロアにいた光葉が「緊張」とか、奥のバーカウンターにいた浦永が「慌てた様子」などという表現を使って、伊野部の言動の異常性をジャバルティの質問に対する答えとしたのに対して、目の前で電話の様子も見ていたし電話直後の挨拶も受けた輪島には何にも感じなかったってのはおかしいと思うんだ。

輪島には「気にならなかった」し「怪しくなかった」って訳だ。

僕は、この伊野部への電話は「気にもならない」し「怪しくもない」どうってこともない普通の受け応えしかしてなかったという方が真実だと思うんだ。

あるいは、あとで書く理由で伊野部は「緊張した表情」を芝居でやってたのかも知れないけどダンスミュージックの喧騒の中ではすぐ傍にいた輪島にも伝わらなかったのかとも思う。

じゃぁどうして、離れたところに居た光葉と浦永から「気になる」或いは「怪しい」という発言が出たかを説明するね。


ます、光葉から説明する。

光葉が伊野部の死を知ったのは、アスワンロイヤルホテルの昇平の部屋に居るときのテレビのニュースなんだ。

部屋には、光葉のほかに昇平、榎田、園咲、辰平の5人がいた。

165ページにその時の模様が書いてある。

榎田が

「やっぱりあの晩の電話かな」と漏らしたことから園咲から説明を求められて、榎田が「緊張」「慌てて」という表現で伊野部への電話の事を説明してるんんだ。

光葉はこのときの榎田の説明で記憶の誘導をされたのだと思う。

”ああ、そういえば慌ててたかな”みたいな感じでね。

でもガイドが客から、何やかやと言って来るって事は伊野部も言ってたしね。

クレームが来たら、そりゃぁ慌てて行動すると思うし、慌てることは別に異常じゃないけど、光葉にしたら榎田の話した「緊張」と「慌てて」がリンクしちゃったんだろうな。

それと光葉の「ビバルディ発言」についてなんだけど、これも榎田からの軽い誘導があったと思う。

昇平の部屋でテレビのニュースを見たときに、伊野部への電話があったのを知ってるのは、その場には光葉しか居なかったんだから、光葉に対してだけ

「伊野部の携帯からビバルディが聴こえて来た時から伊野部さんは何やら緊張してたよね…」みたいな事を言っておいたかも知れない。

それによって光葉が事情聴取で間違った発言をすれば、光葉に疑いの目が向くという計算もあっただろうしね。

でも、まぁ、この誘導に関してはあったかどうかは分からないけど、光葉のビバルディ発言については過去記事の『Rの刻印』芳川光葉の「ビバルディ証言」について。で説明した。


次は浦永だけど、浦永は発言の中で『これは榎田とも共通意見です』とちゃんと言ってるから、浦永も榎田の誘導と考えられる。

だけど浦永は、光葉よりはしっかりしてて『電話に出て、そのあと慌てた様子で会場を去っていきました。』とだけしか言ってないので、浦永の知ってることだけでは客から呼び出された伊野部の行動としては全く不自然な行動とは言えないんだよね。


こう考えると榎田が「嘘をついた」とするしかないと僕は考えたんだ。

もう一つ考えられるとしたら「輪島が気づかない振りをした」という考え方もあるだろうけど、そう考えた先には合理的な意味を見出せないんよ。

もしも輪島が犯人で、何かを意図して「気づかない振りをした」としても、伊野部の様子を見てる榎田が近くにいるわけだし、意味ないもんね。

可能性としては輪島がどんくさくて遠くからでも気が付く伊野部の緊張や慌て方を目の前で見ても何も感じなかったってこともあるだろうけど、そんな仕込みに合理的意味を見つけられないんよ。

だって人気アイドルのマネージャーという仕事を生業にしてる人間が、目の前に相対してる人間の所作について、離れた所にいる2人の人間が異常に感じた事を何とも思わなかったとするなら、その事に対して無理の無い理由付けが無ければならないもん!

この「榎田の嘘」が気づきにくいのは容疑者10人のうち6人までが現場に居なかったので「伊野部への電話」についての発言が無いために、輪島が「伊野部への電話」について発言してない事が不自然な事に気づき難いって仕掛けがあったんだよな。

それと4人中3人までが言ってる事を正しいと思ってしまうのもしかたがないと思う。


[2]榎田の嘘の意味するところ。

さて、そもそも榎田が伊野部の近くに居たことの目的なんだけど、

榎田は、伊野部の逃亡計画の協力者であり、その逃亡を助ける振りをして伊野部を殺害したんだ。

で、あるからして、伊野部がいよいよ逃亡計画を実行するために席を離れる時に、その伊野部への呼び出し電話を掛けたのが榎田でない事を知らしめるために伊野部の傍に居る必要があった。

そして、自身を殺害犯としないために伊野部へ電話を掛けた者こそが犯人である印象を与える事が必要だった。

実際に、伊野部に電話を掛けてない事が証明されてるのは榎田と輪島の2人しか居ないんだ。

そして榎田と輪島の2人のうちで、電話の内容についてミスリードを行ったのは榎田なのだから、榎田を犯人と断定した。


[3]伊野部の逃亡計画

伊野部は2月23日22時40分にアラームをセットしていた。

アラーム音は過去記事の『Rの刻印』最後の記事。で書いたけどビートルズの「オブラディ・オブラダ」だったと思う。

そして、アラーム音を携帯への着信であるかのようにして、客からの呼び出しを装って席を外した。

そして、それは協力者、榎田への逃亡計画のGOサインでもあったんだ。

伊野部が逃亡を決意したのは2月21日に園咲が警察に盗掘現場のWEBカメラ映像を提出したときだと思う。

関南テレビの撮影クルーたちと東和大学の調査隊員たちのほとんどが伊野部であろうと思える映像が警察の手に渡った段階で、もう警察の捜査の手が伊野部に及ぶのはそう遠くはないと覚悟しただろうからね。

しかも、その翌日の2月22日にはスープレックスクルーズの6日間の旅に出るわけで、いわば6日間缶詰状態になるわけで伊野部はかなりあせってたと思う。

このクルーズ中に逃亡しようと決意したってのはしごく当然だと思うけど、いかんせん準備期間が1日しか無かったんだ。

一番困ったのが逃亡資金を急には用意出来なかったために手元にあった金目の盗掘品や密輸品を持ち出すことにした。

だから335ページのミスバーフの証言であるところのバンダルのはったりは的を射てたってことだったんだ。

で、この盗掘品や密輸品は協力者の榎田への報酬も含んでいたのかも知れない。

伊野部は榎田へトランクを二つ用意するように依頼した。

一つは伊野部自身が入る為の物、もう一つは盗掘品や密輸品を入れる為の物だった。

榎田は自身のトランクとは別に空のトランクを二つ用意するために、三重の入れ子構造にしてセント・ジョセフ号に持ち込んだと思われる。

二重構造ぐらいだとマトリョーシカ人形を思いついたりしないけど、三重構造だとすぐにマトリョーシカ人形を連想するよね。

もしかしたら昇平は伊野部のパソコンの中の情報から、伊野部の逃亡計画の内容を知り、小包の多重構造で暗に伊野部の計画のことを表現したのかも知れない。

伊野部がセント・ジョセフ号に持ち込むための盗掘品や密輸品をどうやって持ち込んだのかは分からないけど、伊野部が一端エドフに陸揚げしたものを榎田が小分けにしてセント・ジョセフ号に持ち込んだんじゃないかな。

スープレックスクルーズの伊野部の部屋からセント・ジョセフ号の榎田の部屋を何度も往復するのは無理かも知れないし、出来たとしても怪し過ぎるもんな…。

いずれにしてもセント・ジョセフ号がエドフに到着するのは夕刻で18:00にはエドフに下船出来るのだから、ベリーダンスショーに招待された21:30までには充分の時間があるもんね。

伊野部のスープレックスクルーズの部屋の仕掛けは伊野部自身があらかた完成させておいたけど階段脇に飾ってある大きな花瓶を部屋の窓からぶら下げる事だけは一人では手に余るために榎田に手伝ってもらう計画だった。

その後、屋上デッキからセント・ジョセフ号へ乗り移り榎田の部屋に身を潜めるつもりだった。

伊野部のカードキーの指紋がふき取られていたのは、単に指紋から伊野部吾郎が磯貝治夫であることがばれるのを防ぐためだろう。

最後の仕上げは、ポーターによってアスワンに陸揚げされたトランク二つを変装した榎田が取りに行き榎田は成功報酬を受け取り伊野部は逃亡するって計画だった。

榎田の裏切りを防ぐために伊野部はアスワンにて銀行より現金を引き出し支払うと言っていたのかも知れない。

(その二)へ続く。





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最終更新日  2009年02月25日 03時53分48秒
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