東大、孤発性ALSの疾患モデルマウスを開発
孤発性ALSの疾患モデルマウスが開発されたようで、治療に一歩近づいた。以下抜粋 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンを選択的に侵す、原因不明かつ治療法のない致死性の神経変性疾患で、病因解明・治療法開発が強く望まれています。私たちは、ALS患者全体の90%以上を占める孤発性ALSの変性運動ニューロンの解析から、グルタミン酸受容体に本来生ずべきRNA編集が不十分であることを見出したことに基づき(Nature 427:801,2004)、この分子変化を再現するRNA編集酵素ADAR2遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスを開発しました。その結果、ADAR2の活性低下に伴うグルタミン酸受容体の分子変化が運動ニューロン死の直接原因であることを証明しました(米国神経科学会機関雑誌Journal of Neuroscienceに発表)。この研究は、孤発性ALS患者に見出された疾患特異的分子異常が運動ニューロン死の直接原因であることを証明したものであり、孤発性ALSの分子病態を反映した疾患モデル動物として世界でも初めてのものです。ALSの治療法開発にとり治療標的が特定できたと共に、治療効果の判定のために有用性が高い疾患モデル動物であると期待されます。