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2004年09月09日
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【真夏の邂逅】第74日目


 9/9

 さて大阪に舞い戻ってきた。

 まずは金券屋に行こうと思い昨夜の駅前第四ビルまでやって来た。
 それで18きっぷを売ろうと思ったのだが、なんと買い取りをしてくれない。

 たしかにこの切符は明後日になれば紙屑同然になってしまう。
 無理もないことである。
 しかしこんなことならもう少し早く売っておくべきであった。


 というわけでどうやら切符が一日分余ってしまった。
 もったいないのでもう一日帰京するのは遅らせて、
 琵琶湖から北陸を回って行くことに決めた。

 ホテル加賀の豊田さんや藤波亭の北風さんにもう一度会って旅の報告をしよう。
 そう思えばなかなか楽しみである。

 もうひとつの用事を果たすために江坂に向かう。
 今度はちゃんと西川さんに会えたのでお守りを渡すと、予想どおり喜んでくれた。
 多少無理をした甲斐があったというものである。

 授業中ということもあり、まああまり長居をしても悪いのでさっさと退散すると、
 一路大阪駅に向かいそこから列車に飛び乗った。


 時刻は12:30を少し過ぎている。
 今日は小原さん宅で時刻表をもらってきたので
 待ち合わせ時間に乗り継ぎを調べなくてもよい。
 それで時刻表を見ると16:00には武生に到着する予定であった。
 が、列車が少し遅れたせいで実際の到着は16:30になった 。

 駅から藤波亭へと向かう。
 しかし少しばかり道に迷ってしまった。
 もう夕暮れ近い時間であるし、
 雨がパラついてる。
 やっと懐かしい藤波亭へとたどり着いたときには17:00を少し回っていた。 

 だがそこはもう閉まっていた。
 中には誰もいない。
 曜日の関係か、営業時間の関係かはわからないが、
 とにかくもぬけの殻である。

 まったくここの所こんなのばかりである。
 しかたない。
 いつかまたここに来る機会があるにちがいない。
 北風さんにはその時にじっくりと旅の話を聞かせてやろう。


 武生の駅にもどり、さらに北上するべく列車に乗る。
 今晩はホテル加賀に泊めてもらおう。
 そう勝手に決めつけると列車の中で少し眠った。

 地図を見たところホテル加賀にいちばん近い駅は加賀温泉駅である。
 19:30にその駅を降りて歩きはじめた。
 まだ小雨がパラついている。


 さて、歩きはじめてみたものの
 いったいホテル加賀はどちらの方向にあるのかわからない。
 記憶をたどれば国道から見えるところにあったことは確かである。
 しかしそれが何号であったのかまでは思い出せない。

 何しろあの時は体調が最悪で
 あまりはっきりしたことは覚えていないのである。
 
 とにかくその国道に出なければ話にならない。
 それで何とか匂いを嗅ぐようにして野性のカンを頼りに見当をつけながら、
 どうもそれらしい道へ出た。

 出るには出たが、目標地点に対する自分の位置がわからないので、
 右に行くべきか、左に行くべきかの判断に迷った。

 さてどうすべきか。
 ここはよく考えなければならない。
 もし反対方向に行けばえらいことである。 

 僕はとりあえず左へ行ってみることにした。
 方角としては富山の方である。
 旅をした時とは逆方向に進むことになる。

 道沿いの風景は何だか見たことがあるような気がする。
 しかし、それは期待をもって眺めるからそんなふうに感じるだけなのかもしれない。
 もしも反対の方向へ向かっているのだとしたら、
 どんどん目的地からは遠のいてゆくわけで、
 ことによると、そもそもこの道沿いにあるのではないということもありうる。
 こうやってはっきりしない状態で歩くのはつらいものである。

 結局、道は正しくて21:30にホテル加賀に着いた。
 ホテルの裏口の方から入ってゆこうとすると、そのドアが少しだけ開いている。
 そしてそこからよしおが顔だけを出して唸っている。

 奴はどうやら僕のことを覚えていないらしい。
 僕は近づいてゆきながら、よしお、久しぶりだな、と声をかけた。
 すると奴は、なんで俺の名前、知ってんの、とでも言いたげな顔をして黙り込んだ。
 そして奥の方から、よしお、どうしたんだ、という豊田さんの声が聞こえてきた。

 「こんばんは。」

 僕が挨拶をすると、おーっ、と豊田さんは声をあげた。
 僕はとりあえず部屋に上げてもらった。

 「ここまでどうやって来たの。」
 「加賀温泉駅まで電車で来て、そこから歩いてきたんですよ。
  でも、さんざん迷っちゃって。」
 「なんだ、電話してくれれば車で迎えに行ったのに。」

 豊田さんはそう言うが、それでは呼びつけるみたいである。
 それにいきなり行って驚かせてやろうという気持ちもあった。
 まあラブホテルなら今までのように
 営業時間外や定休日で会えないということもないだろうと思ったのである。

 「その様子だと鹿児島まで歩ききったようだね。」
 「ええ、その報告も兼ねて、こうしてやって来たんですよ。」
 「あいつと話してたんだよ。だいたいこの辺りで旅の半分くらいになるから、
  残りの半分もたぶん大丈夫だろうってね。」

 あいつとは僕に最初に声をかけてくれた女の人のことである。
 そういえば彼女の姿が見当たらない。

 どうしたのかと訊ねると
 金沢市内で経営しているラブホテルが人手不足なので応援に行っているということであった。

 豊田さんは彼女に電話をして
 僕が今、来ているということを告げると、
 彼女はぜひ会いたいというので、
 明日、豊田さんと金沢まで行くことにした。


 晩飯を食わせてもらい、
 ホテル加賀を出てから起こった様々な出来事を僕は夢中になって話した。
 そうして僕と豊田さんは明け方近くまで語りあった。




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・JR・小田急線・京王線 新宿駅南口より徒歩3分
・都営新宿線新宿駅 4番出口より徒歩2分
・都営大江戸線新宿駅 A1出口より徒歩1分

■日時:2004年9月18日(土曜日)
16:45開場 17:00開始 21:00終了

■料金:15,000円(懇親会参加の方はプラス4,000円)

お申込はこちら
→ http://www.m-stn.com/sem/20040918/form.html





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最終更新日  2004年09月10日 17時00分11秒
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