1日620円で暮らそう!!歩いて日本縦断・2700kmの軌跡 -【真夏の邂逅】-68日目
【真夏の邂逅】第68日目 9/3 台風は夜が明けてもまだ去らない。今日はどうやら一日、徳永さんのお宅で 台風の通過待ちをするしかないようであった。そこでしかたなく広島で中吉 さんにもらった『土と兵隊』を読む。-------------------------------------------------------- 雨戸は締め切っているし、停電しているのでローソクの明かりだけが頼りである。 一日中ごろごろしているというのも退屈ではあったが、 まあ今日のところは鋭気を養って明日の佐多岬到着に備えよう。 そう思えば行尸走肉のごとき生活にも意味があるというものだ。 しかし、やがて読書にも飽きると、 今までのことやら、これからのことやらを色々と考えはじめた。 最終的には旅は何日で終えられるのだろう。 6/30に出発したのだから、七月と八月それぞれ31日に1日を足して、 さらに九月が明日で4日目である。 つまりこれらを全部足しあわせると67日ということになる。 足掛けということでいえば四カ月だが、実質的には二カ月というところだろうか。 次に距離を計算してみた。 地図に出ている距離をいちいち足してゆくので 正確なところはわからないが、 総歩行距離はおそらく2500kmくらいであると思われる。 一日の歩行距離に直すと40km弱。 だいたいそんなところだろう。 旅の最初の頃は体もなれていないせいもあり一日に35~38kmくらいしか歩けなかった。 さらに北海道という特殊な条件でもあった。 日が暮れたらもう歩けないのでこれ以上歩くのは難しかったと思われる。 しかし旅の後半になると体も慣れたし、 都市と都市の距離も近いところが多くなって 夜でも歩ける条件が整っていた。 そういうこともあって、毎日50kmくらいは行くつもりで歩いていた。 ちなみに今まで最高に歩いた日は広島を目指した8/20で、 恐らく65kmから、もしかすると70kmぐらい歩いているかもしれない。 さて距離の次はお金の計算である。 こちらは本来、出てゆくばかりのはずなのだが、 何故だかけっこうな収入があった。 まず親切な人々によるカンパである。 それから少額ではあるが道端で拾うこともある。 そんなこんなで旅をしている間の収入が合計で40,000円ちょっとあった。 使ったお金が81,529円である。 これを日にちで割ると一日1,216円の出費である。 こいつは安い。もらった分を差し引いて計算してみると、 さらに安くなり、一日620円なりである。 まあ、これは純粋に歩いている時に使ったお金だけの話であるので、 稚内までの旅費と、今後のかかると予想される分を足してみると、 多めに見積もって合計で約130,000円。 日割りでは約1,770円になる。 これでもやっぱり安い。 僕は今さらながら野宿の力を思い知った。 帰りは青春18きっぷで帰ろうと思っている。 もうすでに購入済みなのであるが、このトクトクきっぷを使うと 期間中はJRの各駅停車が一日中、乗り放題である。 だからうまく乗り継いで帰れば三日分の汽車賃、 つまり約6000円で帰れるのである。 しかし問題はこのトクトクきっぷは五日分綴り11500円で売っているので 二日分ほど切符が余ってしまうことであった。 そこでその余った二日分を売りさばこうと広島や熊本で金券屋を探したのであるが どうにもうまいことゆかない。 しかし、考えてみれば帰りの途中には大阪や名古屋といった大都市を通るのである。 どうにかなるにちがいない。 思えばもうひとつ問題がある。 このトクトクきっぷには期間があるといったが、 もうそろそろリミットが近づきつつある。 たしか9/10までは有効であったような気がする。 しかし、今日はまだ9/3であるのでギリギリで間に合いそうである。 まあ、それほど心配するほどのことはあるまい。 佐多岬に着いてから実際どうやって帰るのかも考えなければならない。 岬のあたりには、さすが陸の孤島と呼ばれるだけあって交通機関がない。 だから目的地に到着したといっても やっぱり交通機関のあるところまでは歩いて戻らなければならない。 もっとも歩く旅はその時点では終了しているのでヒッチハイクはありである。 さて最終的にはJRに乗るのだが、 一番近い駅というと鹿児島駅ということになる。 そこまで行くのに来た道をひきかえしてもいいのだが、 どうせならちがう道を行きたいところである。 そこで僕は向かいの薩摩半島に渡り北上して鹿児島に行くことにした。 この台風さえ来なければ斎藤克也と鹿屋で落ち合うはずであったが、 先方のお宅に電話したところ、もう出発してしまった後であった。 JRは台風の影響でダイヤに大幅な乱れが出ているので どうやら9/4に鹿屋で会うというのは無理そうである。 まあ、奴には東京に帰ってからでも会える。 さて薩摩半島のほうには開聞岳や砂風呂で有名な指宿がある。 それになんといっても池田湖が見てみたい。 いや正確に言えば池田湖に棲息するというイッシーを見てやるのだ。 せっかく近くまで来ているのだから、 ぜひその水棲生物の姿を拝んでみたいものである。 鹿児島の市内に着いてからの予定であるが、 ここでも寄らせてもらおうと思っているところがある。 新潟で出会った田所氏の実家である。 たぶん彼が電話をしていてくれているはずである。 しかし鹿児島市は8/6の集中豪雨でかなりの被害を受けていて、 僕のような者がお邪魔してもよいような状況なのかとも思う。 まあ、その場になってから決めることにしよう。 その鹿児島から鈍行列車を乗りついでゆけば、 その日のうちに岡山あたりまでは行けそうである。 しかし、途中下車してラーメンを食っていこうと思っている。 例の北熊である。あのラーメンはうまかった。 それに店の人にも無事に旅が終わったこと(まだ終わっていないが)を報告しようと思う。 さて幸いなことに、この台風はこちら側の大隅半島ではなく、 薩摩半島に上陸したということだった。 おかげで僕は土砂に飲み込まれることもなく、 川に流されることもなかった。 夕方には風も止み、少しばかり陽が差しはじめていた。 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ 旅のはじまりから読みたい方はコチラ----------------★オススメ本です★---------------- 『ツキの天使がやってくる秘密のレッスン』 (恒吉彩矢子著・徳間書店) ツキが人生のすべてのカギを握っていると言っても過言 ではないと思いませんか?ツキに見放された人、もっと ツキを引き寄せたい人。必読ですよ。