「フンコロガシとウスバカゲロウの幼虫に思う…。」
土曜日ついにこの福島にも雪が舞い降りた。魅惑の晩秋にひとり感傷に浸っていたのも束の間、完全に冬が来た。師も走るなどと言う12月だけれど、いったい師は何処に走るのだろう…などと疑問に思いながらも、されど、しかし本当に主要幹線道路でボクの車を息せき切って追い越してゆく車が何と多いことか。不安定さを誤魔化しながら使用していたパソコンのプリンタがついに壊れた。電化店を回りながらランニングコストと使い易さを考え機種をエプソンからキャノンに乗り換えた。パソコン周辺機器の進化はなんと著しいことだろう。今までのプリンタより印刷が数段早いしとにかくきれいだ。愛用しているデジカメは三代目になるが、そろそろデジカメ一眼レフが欲しいと食指を伸ばしてみたりする。しかし、なんて欲張りなのだろう。十数年前、あれほど夢中になってお金を貯めてペンタックスの一眼レフカメラを買ったのに我が恋人はいまでは押入れの中で眠っている。昔ディスクトップ型のすごいワードプロセッサを使っていたことがある。もちろんブラウン管のディスプレィは見やすいしかなりの機能が備えられていた。しかし印刷が恐ろしく時間が掛かった。普通の文書は問題ないのだが罫線を使用したもの、ちょっとしたグラフになると驚くほど時間が掛かった。ガチャ、ガチャ、それは初め軽快に印刷が始まるが罫線の部分に差し掛かるとパタリと止まってしまうのだ。どうやら器械は一生懸命考えているらしい。<あれ?これは何ですか?文字じゃないようですけど…。ご主人様どうしたらいいんだべ。>だからそんなときボクは怒鳴ったのだ。「おい!いつまでも考えてないで早く印刷しろい!」罫線で枠組みされたB5サイズの一枚の資料の打ち出しは20分を要した。でも今になってちょっぴり懐かしい気もする。新しいプリンタで先ほどもA4の資料を打ち出ししたけれど、あ!っと言う間だった。なんというか、早くてきれいなことは素晴らしいことだけれど味気なかったりする。便利なデジカメは何処に行くにもカバンに忍ばせているけれど、ほったらかしのあんなに愛した恋人(ペンタックスーZ50P)を押入れから取り出して写してみたいと思うことがある。際立つ個性はないけれど、洒落っ気のない性格のいい可愛い子で 実にバランスの取れた柔らかいカメラだ。ちゃくちゃくとミニフィギュアのコレクションが増えている。キャラクターものはほとんど興味が無い。そのフィギュアの発想と造形に並々ならぬ興味を抱くのだ。大好きなミニフィギュアがある。セブンイレブン限定企画の「ファーブル昆虫記」シリーズの「ヒジリタマオシコガネ」とフルタ・チョコエッグ・クラシック(日本の動物コレクション)の「ウスバカゲロウの幼虫」だ。「ヒジリタマオシコガネ」聖玉押し黄金虫、俗に云う「ふんころがし」である。「ウスバカゲロウの幼虫」はあの「蟻地獄」だ。二人とも、どうでもいいような虫たちだが実におかしな習性で際立つ個性の滅びて欲しくない者たちだ。とても便利で高速なプリンタを部屋の隅に望みながら、棚のケースに収められてあるミニフィギアを手に取りながら色んな事を考えてみた…。なんとのんびりしていることか。あんた、そんなにフンコロガシてどうすんの。あんた、そんな砂の中に何時までも潜んでいてどうなのよ…。ああ、それでも、寒い寒い今日の夜はただ更けて行くばかりだ…。