★宮廷画家ゴヤは見た(2006)★
GOYA'S GHOSTSそれは、立ち入り禁止の、愛。映時間 114分 製作国 アメリカ/スペイン 公開情報 劇場公開(ゴー・シネマ) 初公開年月 2008/10/04 ジャンル ドラマ/歴史劇 【解説】「アマデウス」「カッコーの巣の上で」の巨匠ミロス・フォアマン監督が、スペインの天才画家ゴヤが活躍した激動の時代を背景に、非寛容・非人間的な異端審問がもたらした一つの悲劇を描いた歴史ドラマ。純真無垢な少女イネスと威厳に満ちた神父ロレンソが辿る数奇な運命を、2人の肖像画を手掛けるゴヤの目を通して繊細かつ重厚に描く。主演は「ノーカントリー」のハビエル・バルデムと「クローサー」のナタリー・ポートマン。「奇跡の海」のステラン・スカルスガルドがゴヤを演じる。【ストーリー】時は18世紀末、スペイン国王カルロス4世の宮廷画家に任命されたフランシスコ・デ・ゴヤ。画家として最高の地位に登り詰めながらも、常に現実の社会と向き合い、人間の真実を見つめ続けた画家。1792年、ゴヤは2枚の肖像画に取り掛かっていた。1枚は裕福な商人の娘で天使のように純真な魅力にあふれた少女イネス。もう1枚は威厳に満ちたロレンソ神父。そんな中、カトリック教会では、ロレンソの提案で、形骸化していた異端審問の強化が図られていた。そしてある日、イネスは居酒屋で豚肉を嫌ったことからユダヤ教徒の疑いありとして審問所への出頭を命じられてしまう。【感想】<>いやあ、見応えありましたものすごいもの観ちゃったと言う感じです『アマデウス』が大好きな私ですが、この監督は『カッコーの巣の上で』の監督でもあったんですね(^^ゞ(未見なんですが(^_^;))やはり,期待を裏切らない凄い作品でした!ミロス・フォアマン監督75歳、素晴らしい!!!この映画は、ゴヤの伝記ではなく、邦題通り、まさしくゴヤが見た18世紀末、政権交代の激しい、激動のスペインが、そして彼が描いた肖像画のモデル「イネス」と「ロレンソ神父」の運命が描かれていました。。。スペインと言うとフラメンコや闘牛など明るい、陽気なイメージなのですが、そのようなスペインにも過酷な時代はあったんですね・・・って世界史をとっていた人間なのに忘れてる?↓以下ネタバレ感想です↓カトリック教会の偉そうな人たちがゴヤの版画(風刺の版画集)をまわし見している暗い画面の冒頭のシーンから、これからよくない事が起こりそうな気がしてすでにドキドキそしてそこから興味を惹かれ、不気味なハビエルと天使のよう美しいナタリーの出現に目を引かれイネスが異端審問にかけられてからの展開は予想できず、飽きることなく一気に最後まで、観てしまったと言う作品でしたロレンソ神父を演じるハビエル・バルデム、私はまだノーカントリーの殺し屋シガーのイメージが強くて(^_^;)、この方が出るだけで、怖くてドキドキしちゃいました(笑)今回も、怪演で、あの濃~いお顔で、強烈なインパクトで嫌悪感さえも感じさせて?くれましたジョニーが出ているからと言うことで観た「夜になるまえに」この作品でハビエルを知ったのですが、その時からすごい役者さんだと思っていましたが、本当に上手い!!!ラストの公開処刑のシーンでの体が小刻みに震える演技に、ロレンソも普通の人間、小市民であったことを感じましたイネスの運命を狂わせた張本人、自分だけがぬくぬくと幸せになって、自分の保身ばかり考えて「こんなヤツ天罰が下っちゃえばいいんだ」って思って<過激ですみません>観ていたら(笑)本当に処刑になってしまいました彼が処刑を受け入れたのは、プライドのため?イネスへのつぐないのため?だったのでしょうか・・・イネス役のナタリーポートマン、お金持ちの商人の娘役で清楚で美しい!ですが・・・豚肉を食べなかったことから、異端者扱いで牢獄へ・・拷問のシーンは目をそむけたくなりました美しいナタリーを見に行って、まさか、あんな姿のナタリーを見る事になろうとは思いませんでしたが、二役(イネス・アリシア)質的には三役(15年の獄中生活から解放されたイネス)でしょうか、素晴らしかったですそして、タイトルにもなっている画家のゴヤ、先日マンマミーアで観たばかりのステラン・スカルスガルド<ビルターナーです>が演じていました実物のゴヤに似ている風貌で、ハビエルとナタリーの濃い~~演技の中、さりげない、控えめな演技がこの映画をくどくしていないように思いました。あくまでも、この時代の、二人の、庶民の、歴史の目撃者(観察者)だったと言う立場のゴヤにピッタリだったと思います獄中で生まれたイネスの娘アリシア(ナタリーの二役)は、修道院を脱走し、娼婦になっていて、ロレンソ神父は保身のためイネスを精神病院へ、アリシアをアメリカに護送しようと企てます。あまりにも過酷なイネスの運命、母親が不幸なら娘も不幸になる、娘も不幸になるのかと不幸の輪廻を感じてしまったのですが、処刑場のシーンで、ロレンソをバルコニーから見下ろす、将校に寄りそうアリシアの姿に、したたかさと強さを感じ母親の分まで幸せになって欲しいと思ってしまいました。。。ラストシーン、荷車に無造作に載せられたロレンソの遺体に寄り添い、その手を握り締め、歩いていたのは、赤ちゃんを抱いたイネスでした。その後をついて行くゴヤ・・・彼を振り返ったイネスの笑顔は、愛するロレンソと赤ちゃんを手に入れて、幸せに満ちていましたこの表情は切なかったですイネスにはやっと幸せを手に入れたひと時ですがその先に希望はあるように思えません後ろをついて行くゴヤが、いつまでも彼女を見守って欲しいと願うばかりです歴史物語であるだけでなく、突然の過酷な運命を受けいれなければならなかったイネス権力を手に入れようとして運命に翻弄されたロレンソそして、そんな二人を、スペインの歴史を見続けたゴヤの人間ドラマでもありました。エンドロール、たくさん映し出されるゴヤの絵に席を立つ人はいませんでした。邦題は上手いと思いましたが、キャッチコピーの『それは、立ち入り禁止の、愛。』はちょっと(かなり?)違うように思えました(^_^;)77名入るところで60名くらいの観客だったでしょうか・・・土曜日の割には少なかったような・・・40、50代以上のかたが多かったように思います(^_^;)そして男の方、おじさんが意外と多かったです。拷問のシーンを含めて気楽に何度でも観れると言う映画ではありませんが、観て良かったと思う作品でした10月4日(土)から公開中<パンフレット¥800クリックで公式サイトへ>フランシスコ・デ・ゴヤ