儀礼の排除 -1-
くどくどと挨拶を書いている人もいますし、あて先の名前とか役職とかをきっちりと並べ立てているメールもありますが、社外ならともかく、社内では効率を優先させるべきです。松下電器産業のV字回復の功労者である、中村邦夫社長は、携帯電話のメールを多用するそうです。どんなときでも、どんな場所でも意思決定とコミュニケーションを行うというのは、経営者の責務であり、能力の発揮しどころです。ただ、携帯電話のメールというのは特殊なキーボードですから、習熟までに時間がかかりますし、ある程度慣れたとしても、タイピングスピードとレスポンスは、到底満足できるものではありません。しかしノートPCに比べてもその手軽さ、機動性ははるかに上だと言えます。そこで中村社長らが行っているのは、非効率性を排除するため、句読点をいっさい使わないことだそうです。最近では社内でも客先との会話でも、インスタントメッセンジャーを使う人が増えています。MSNメッセンジャーや、Yahooメッセンジャーなど、無料で使えて、インターネットにつながるところならどこでも気軽に使えるし、テキストだから証拠も残せるというので、非常に便利なツールです。会議室に無線LANのついたノートPCを持ち込める会社も増えていますから、退屈な会議だと、ほとんどの人がこのインスタントメッセンジャーでチャットを行っているときもあります。これは、外資系企業の英語でのやりとりの場合ですが、インスタントメッセンジャーでも、タイピングスピードを上げるために、大文字・小文字を一切区別しないというやり方を、ほとんどの社員が行っている会社もあります。ほんの小さなことですが、1秒を短縮するわざと言うのは意外に効果が高いものです。時給5千円の人の場合、1秒あたり、つまり秒給は1.3円程度になります。それが社員全体、1年間、とか考えていくと大きな金額になります。また、儀礼の文面というのは、1秒では書くことができません。それを排除することで、相当の時間を節約することができるのです。城下町けんぞう