今から約10年前、秘書給与詐取事件で、懲役1年半の実刑判決を受けた、元衆議院議員、山本譲司による433日間の獄中の記録。
正直読む前は、犯罪を犯した政治家が何を書いているのか、という考えがあったが、一読して吹き飛んだ。それどころか、山本さんの生き方に共感さえ得た。
第一章では、詐取事件にいたる経緯、第二章からは、新米受刑者としての生活、および寮内工場で障害者たちの介助役をあてられてからの生活が綴られている。一言でまとめると、凄惨、壮絶。何故、事件が起きてしまったのかという背景や心情、マスコミのあり方、国の行政の問題点などが浮き彫りにされているだけでなく、一般的に知られていなかった刑務所内の実状が明かされていて、これからの福祉行政への課題が見えてくる。新潮社ドキュメント賞受賞。
「有言不実行」の政治家が多い中、山本さんの「言葉」と「行動」は、際立つ。
獄窓記