2016マイベスト第4位。
冷んやりした心地よい風が鈴虫の音を運んでくる。台風の去った秋の夜に本を開くと、ピアノの音と森の香りが部屋中に広がった。
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
音楽のように紡がれた物語は、静かに心を温かくしてくれて、気をぬくと涙が出そうになった。本屋大賞だから良い作品なのではなく、作品が良いから大賞なんだな。と当たり前のことを考える。
「美」しい、「善」い、プレゼントをありがとう。
【古本】羊と鋼の森/宮下奈都【中古】 afb