阿部和重ならぬ「和子」が、女性限定の小説家たちの人生相談を親身になって鮮やかに、論理的に、スリリングに答える。阿部和重ファンということを差し引いても、めちゃめちゃ楽しかった。ちょうど「ピストルズ」の連載時期であったのも興味深い。阿部和重がさらに好きになった。エッセイを書かない作家(?)なだけに、彼の人柄を知るには貴重な一冊。続編出ないかな?
相談者は、角田光代、江國香織、川上未映子、金原ひとみ、朝吹真理子、綿谷りさ、加藤千恵&島本理生、川上弘美、桐野夏生。豪華な顔ぶれ。未読の作家の作品を読んでみたいと思った。特に朝吹さんは初めて知ったので、まずは「流跡」を読んでみたいと思う。
さて、「栗きんとん」とういうペンネームを使いたいと思う阿部さんと、つまんないよとツッコむ角田さんのやりとりも楽しかった。
角田「阿部さんは、ほんと人生相談の回答者に向いていますね。でも阿部さん、本当は他人にあんまり興味がないでしょう? だから、こんなに客観化と整理がうまいんですね」
阿部「角田さんの、やっぱり変わらない黒い部分が見えましたね」
人生相談とは別のところで楽しめたのは、川上未映子さんとの対談。
阿部「でも、そう話しているうちにちょっと顔つきが険しくなってきてますね。なんか怖がってる感じ。大丈夫かな。今晩寝るときに電話しましょうか?(笑)」
川上「ありがとう、和子さんは優しいですね(笑)……」
これからこのお二人が結婚するんだなあと思いながら、ニヤニヤしてしまった(笑)。
さてさて、四年間寝かせた「宝物」である「ピストルズ」もいよいよ読む時期が来たかな?
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