僕が生まれた翌年(つまり30年以上前)には、この壮大な宇宙叙事詩が生まれていたのか。今更ながら手にしたが、申し分なく面白い。そして、まったく古さが感じられない。
序章の「銀河系史概略」からして圧巻だ。「西暦2801年、太陽系第三惑星からアルデバラン系第二惑星テオリアに政治的統一の中枢を遷し、銀河連邦の成立を宣言した人類は、同年を宇宙歴1年と改元し、銀河系の深奥部と辺境部にむかってあくなき膨張を開始した」。
やがて銀河系に一大王朝を築き上げた銀河帝国と、民主主義を掲げる自由惑星同盟との闘争の中で、二人の「天才」が現れる。
交差する戦いと平和への想い、そしてぶつかり合う戦略。人類の長い歴史が下敷きとなっていて、はるか未来の話のはずなのに、いま現在の世界の趨勢が浮かぶ。
僕と同年齢の物語にあいさつ。遅ればせながら、どうぞよろしく。
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