毎日大変生活

１７日。
阪神淡路大震災から１０年。


当時、
うちに来てくれている数学の先生が大学生で神戸に住んでいた。

生き残り、何とか大学まで行ってみようと、大学生数人で、
歩いて避難している途中。

自分の足元から、助けを求める声がする。

屋根瓦をはずし、素手で掘っていくと、
崩壊した家の小さなテーブルの下に、女の子が泣いていた。
彼女を助け出し、

他にも、何人か助けながら、歩いていった。

お亡くなりになっている人は、そのままにせざるをえなかった。

地中からかすかな声。
「どこだ。どこにいる！」
必死で位置を探そうとするけど、
上空は報道のヘリコプターが飛び回り、その爆音で、
地面の下からの声が聞こえない。
そのまま、声の主を見つけることは出来なかった。。

上のヘリを見上げて、
「どこかへ行ってくれ！！」
地上からみんなで叫んだそうだ。
あのくらい報道のヘリが憎かったことはないと今でも言っている。

被害の模様を映し出していた報道各社のヘリ。。
その画面が、お茶の間に届いている間に、
その下で、懸命の人命救助があった事を忘れてはならない。
ヘリの爆音でどれだけのかすかな叫びがかき消されていったことか。

彼は、地面の下の声が聞こえなくなり、
そのまま何も出来なくて、通り過ぎたのが、
今でも、痛恨として残っていると言っている。

昔の瓦は一枚ずつはずせるが、
新しい家の瓦は、貼り付けてあるので、
はがす事も出来ず、そのまま、声が聞こえなくなったこともあったという。


ボランティア

私は新聞が募集していた「子供遊び隊」というボランティア
参加した。

長田地区の小学校をまわった。
子供たちには、垢がこびりついていた。

親を亡くした子。両親とも入院している子。
いろんな子がいた。
その中で、あちこちに散らばっている子どもたちを集め、
縄跳びをしたり、紙芝居をしたり、鬼ごっこをした。

都会の子なので、身体を使う遊びはあまり知らなかった。
それを実際にやりながら、子どもたちを誘っていった。

１日目、私たちが校庭の片隅で、
お弁当を食べていると、
子どもたちが遠巻きに見ていた。

話がしたいのかな？
と思っていた。

一人が、出てきて、
「そのお弁当の少しを食べさせて。」
と言った。

私たちは、
周りにいる子たちと、
自分たちのささやかなおにぎりを分け合って食べた。

私たちは、自分達の無神経さを恥じた。



「遊び隊」は２回ほど同じ学校にいるだけで、
子どもたちとやっと親しくなったら、
次の学校に行かなければならなかった。

「次は来ないの？」
子どもたちの泣きそうな顔。

もっと、子どもと遊ぶボランティアが欲しいと思った。



１０年経っても、傷が残っている。

長田に住んでいた叔父や叔母もお店が全てつぶれ、
今尚、資金繰りに苦しんでいる。

そして、その後も続いている孤独死。

ある外国の報道機関が、
「お金持ち日本は、国民を助けるのではなく、
弱いものの自然消滅を待つという手段をとっている」と報じていたことを
思い出す。



２月５日に、「ひょうご女性未来会議〈震災で学んだこと・私たちの役割は・・）」が神戸で行われる。
私が所属しているＩＴＣのメンバーが企画している。

私も参加させていただく。

震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、

私たちに何ができるかを考えなければならないと思う。