カテゴリ:本
子供たちに英語を教えていると、
エリック・カールの本を取り上げることが多い。 児童英語の立場から言うと、 色、動物の名前、曜日、など、ボキャブラリーを教える手段として 絵本を使うっているのではないかと思うときがある。 絵本は、そんなちゃちなものではない。 絵本作家が命をかけて綴った魂の言葉のほとばしりである。 エリック・カールの絵本を読むときに、 読み手が、もし、彼の人間を知っていたら、 読み手の中の本は、読み手にとって、かけがえのない本になるだろう。 エリック・カールのコラージュ(貼り絵)の作り方。(参考「月刊 絵本とお話」) 1、テッシュペーパーに色をつける。(40色) 2、色分けして、引き出しにためておく。 偶然に出来た色合いのキレイな紙は、特別な引き出しにしまっている。 3、まず、絵柄を決める。 選んだティッシュをはさみで切ったり、ちぎったりして、ゴムのりで貼る。 4、仕上げの細かいところは、鉛筆や、水彩絵の具、マジックインクで描き加えて いく。 エリック・カールの色の華やかさ エリック・カールが小学生当時、ドイツに住んでいた。 第二次世界大戦。 生活の中から、街の中から、色が消えて行き、灰色の世界になった。 エリックにとっては、まるで、色のない世界だった。 エリック、12歳の時、 学校で絵の先生が、密かにエリックを呼んだ。 そして、薄暗い部屋で、先生自身の机の引き出しをゆっくりと開けた。 それを見たとき、エリックは、目を見張り、息を飲んだ。 引き出しの中からは、 目もくらむような光が、輝く色が飛び出してきたのだ。 ピカソ、マチス、ブラック・カンディンスキーなどの絵。 エリックは、時間も忘れ、ウットリと絵に見入った。 戦時中の色がない生活の中で、絵が大好きだった12歳のエリックは、 その時、命の躍動を感じたに違いない。 絵の先生は、彼に言った。 「君の絵は、型にはまらない、素晴らしい絵です。しかし、学校ではリアリズムの絵を学ばなくてはいけない。 だから、今、見た絵の事は誰にも言うな。 けれども、このように、自由に表現した素晴らしい絵が存在する事を覚えておくといいよ。」 私は、エリック・カールの絵本のページをめくるたびに、 エリックのその喜びを感じる。 エリック・カールのその時の思いは、子どもたちに説明しない。 だって、私の心が、その色を見て、輝いている事を感じているから。 子供たちは、それを感じることが出来る能力を持っているから。 ただ、エリック・カールの本を読んであげる大人には、 その事を知っていて欲しいと思う。 それを知って、エリックの本のページをめくると、 色が喜んで飛び込んでくることでしょう。 エリック・カールの文 エリックが16歳の時。 戦争直後の事。 暖房の入らない学校の図書館で、図書館員が放課後、エリックのために待っていた。 そして、 カフカ、ジッド、トーマスマンを勧めた。 エリックは、 「一語一句の美しさ、言葉のリズムは私の胸の中を波打って流れ、 蓄えられたのだと思う。」 と書いている。 エリックの言葉の美しさ、リズム、読んでいて気持ちがいいのは、 彼の言葉への愛情が脈打っているからだ。 コラージュとの出会い エリックは美術大学で、コラージュに出会った。 色紙作りを通して、 エリックは、 戦争中から、ずっと自分の胸に溜めていた色への想いが、 とどめもなく、喜びと共に、湧き出してきた。 それは、彼の命のほとばしりでもあった。 楽しかっただろうなぁ。。。って想像できる。 絵本作家として エリックは、再びアメリカに戻った。 ニューヨークで広告のデザイナーとして働いていた。 彼の才能に目を留めたのは、絵本作家、ビル・マーチンジュニア。 ビルのリクエストに、エリックは、思いっきり色を楽しみながら、挿絵を描いた。 エリックの最初の絵本は、’Brown Bear Brown Bear What Do You See?’ である。 ほら、色が喜んで飛び出てくるでしょ。 ワクワクします。 この本がきっかけになり、エリックは、絵本作家として、イラストレーターとして、活躍することになる。 子供たちは、温かくて、安全で楽しい家庭から、 荒波も嵐もある大きな海に船出します。 どんな苦難な道が待ち受けていたとしても、 子どもの時に養った、空想の世界には、夢や希望にあふれています。 絵本を読んでもらう事で、 自分が自分ではなく、他のものと重ね合わされます。 それは、自分が生きていることの意味を体得していくことにもなります。 エリックは、 色のない世界にいた時に見た色への想いを、 自分の命の輝きのほとばしりを、色と言葉に託して、本として世界に送り出しています。 彼が輝く色から、生きる力をもらった喜びを伝えるために。 キーツは、仕事を始めたエリックにこんな言葉をかけています。 「良い絵本を時間をかけて描きなさい。必ず食べていけますよ。」 エリックの周りには、導いてくれる大人たちがいました。 芸術家になりたかったエリックの父親は、絵に対する愛情と自然への愛情を育ててくれました。 教師達は、エリックの才能を見逃しませんでした。 友達は、励ましてくれました。 そんな力を元に、色に恋したエリックの作品を楽しんで欲しいと思っています。 おまけの話。 エリックは、50エーカーの土地を買いました。 1エーカーは1200坪です。 ということは、60000坪です。 1エーカー200ドル、だったそうです。 最後に、児童英語では、 ブラウンベアーで習うこと。 色 8色 動物 10種類 音読リズム 覚えやすいQ&Aパターン とあります。 日本の絵本も同じですが、効果よりも、 絵本を慈しんで子供たちに伝えたいと思います。 子供たちは、目を輝かせて、エリック・カールの色の魔法にかかります。 教室で子どもたちが、エリック・カールの本を大きな声で楽しく読んで居る時、 私は、 次の言葉を思い出します。 「一つの話をそらんじ、文のつながりや、言葉の順序などという機械的な事を超越して、 ちょうど、その話を最初に作った人が、そうしたように、物語が自らの口から湧き出すのを待つ作業を追体験している」 英語の絵本を読みながら、日本語の絵本を読みながら、 私は、喜びを子どもと共に味わいたいと思っています。 参考図書 月刊 絵本とおはなし 未来への教室 エリック・カール MPIパーフェクトレッスンプラン 「ストリーテラーへの道」 ほか、いろいろ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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