カテゴリ:日常
入院している父
息子とお見舞いに行くと、 ベッドの横に腰掛けた父の目の周囲が見る間に、赤くなった。 そして、まぶしそうに、息子を見上げる。 「ありがとうな。ありがとうな。」と言う。 昨日、私が行っても、 目の周りが赤くなった。 そして、じっと窓の外を見ている。 戦後60年で戦争の番組がある。 父は、ビルマ・インパール作戦の生き残り。 部隊のほとんどが全滅した作戦・・・ ジャングルでヘビや植物の根を食べながらの戦闘であったという。 後退していく間、戦死者が出る。 亡くなった戦友の骨と一緒に日本に帰ろう。 遺骨をご家族に返さなくては。 その思いで、亡くなった戦友の腕を切り、それらを持ってジャングルをさまよっていた。 戦死者の数が増え、腕では大きすぎ、 指を持って帰ることにしたと言う。 それも、いっぱいになり、 髪の毛になった。 そして、それさえも出来ない状態になった。 今でも、ジャングルの父達が通った痕は、白骨街道と言われている。 父の戦争中の話を、病室の今の父の姿と重ねている。 ビルマに行きたいと言っていた父。 持って帰ることが出来なかった戦友の骨が、 今も、かの地で、日本へ帰る事を待っている。と言う。 国の政策に翻弄された人生。生きることも死ぬことも・・・・ 自分の人生を、自分で、切り開くことが出来る現在に生きている私。 もう一度、生きる事を見つめてみたいと思った。 ~~~~~~~~~~ おじいちゃんへ。 何度言ってもわかってもらえないけど、 家にいる孫娘に辛く当たるのはやめて欲しい。 お風呂に入れてもらい、背中を流してもらい、 服を着せてもらい、 夜中、声を上げたらすぐ飛んできてもらっているでしょ。 毎日見舞いに来てくれ、笑顔を運んでくれているでしょ。 してくれているのは、孫娘なんよ。 外からは見えなくても、 まだね、親指が不自由なん。 一生懸命に世話してくれる気持ちを認めてやってね。 誉めてやってね。 今日は、そんな手紙を持って、父の見舞いに行く。 父にとっても辛いことかもしれないけど、 娘は、父の辛らつな言葉に、しばらくは会いたくないと言っている。 家にいるのはね、しばらくバイトを休んでいるから。 さぼってるからじゃないよ。 暑いのは、 娘のせいじゃなくて、夏だからだよ。 枕元に、ポカリを置いているのは、 水分補給にポカリが一番いいからだよ。 深夜、彼女が枕元に駆けつけて来たのは、呼んだからだよ。 起したのはおじいちゃんでしょ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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