テーマ:海外生活(7771)
カテゴリ:ドイツ生活
ニュース・ダイジェスト(在外邦人向けの情報紙)で話題になっていたベルリンの東ドイツ博物館(DDR Museum)を訪ねてみた。最近出来た新しい博物館だが、ご覧の通り大変なにぎわいよう。場所はいわゆる「博物館島」東の対岸にあり、車道より一段低い川べりにある。
統一後のドイツの生活や習慣はしだいに西側に染まり、東の特色はやがて薄れていったと言ってよいのかも知れない。それで東ドイツでの暮らしのようすなどは今となってはなかなか目にする機会がない。 この博物館は旧東ドイツの言わば庶民の生活を展示したもの。小物類が中心だが、やはり実物を目にすると東独の生活がリアルに伝わってくる。 博物館に足を踏み入れると「トラバント」がお出迎え。その奥には東側の歩行者信号「アンペルマン」が雰囲気を醸し出している。 展示スペースはバーやレストランくらいの広さで、お世辞にも広いとは言えない。だが小物が多いこともあって展示はボリュームのある内容となっている。 展示物の多くは引き出しのついたショーケースに入れられている。引き出しには色々な小物類、書類などがテーマ別に入っていて、それらを直にふれてみることが出来る。 小さい上に手に持つことが出来るので、盗難の恐れはないのかとも思うがDDRらしく(?)あちらこちらに監視カメラがしっかりと設置されている。 なおこのショーケースは東ドイツまた東ヨーロッパによく見られるプレート工法(Plattenbau)の高層住宅を模っているようだ。 プレート工法とは、量産した壁の部品を組み立てる工法である。 70年代、東独政府の方針で高層住宅の建築ラッシュがはじまり、その時この工法が採用されたそうである。 右写真のおもちゃはその工法の特色を表していて面白い。レゴやダイヤブロックの要領で好きな形にビルを作ることが出来る。 このようなブロックであそんだ子供は建築のセンスが養われたのだろうか? この博物館で見逃してはならないのがこの「居間」である。 この居間は当時の東独の生活風景を描写したものである。 古いラジオやテレビ、本などがなかなかレトロなムードを漂わせている。 ところがこれはただの居間ではなかった。少し離れたところに右写真のようなスペースがあるのだが、一見オーディオ装置のように見えるが、実はこのヘッドフォンから聞こえてくるのは居間での会話などの音声なのである。つまりここはスパイの盗聴部屋なのだった。 博物館の解説によれば、当局は多くの民間人をスパイに起用して人々を監視していたと言う。民間人スパイ(IMS)は写真のような装置を使って隣人、友人、同僚を監視して逐一上官に報告していた。 1989年には約17万3千人のIMSが登録され、そのうち約9万人が実際にスパイ活動を行っていたと言う。 この博物館のスパイ部屋は奥まったところにあり、気がつかない人もいるかもしれない。ここで内緒話など決してせぬようご注意… そして、「ベルリンの壁」なんぞおみやげに… ところで、ベルリンの壁と言えばまともに現存するのはオスト駅前の「イースト・サイド・ギャラリー」だが、なんだか最近妙にアート化してしまった気がする。 町の景観としてはよくなったのかもしれないが、なんだか味気ない気がする。やはり生々しい感じもどこか残してほしかった。 博物館のその他の写真をYahooアルバムにて公開しています。どうぞご覧下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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