テーマ:楽器について♪(3648)
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ピアニスティック、すなわちピアノらしい表現の源となったのは、ダルシマー音楽の発展形であり芸術昇華したパンタレオンの音楽であった・・・と、文章で書くのはやさしいが、そもそもダルシマー音楽とはどんなものだったのか。
実はこの楽器はいにしえより世界中に広まっており、その音楽がどのようなものであったのか一つの例を挙げて語るのは不可能だ。だが、それらはロマ、すなわちジプシーたちが各地を転々とする中で、ある場所からある場所へ伝えたりされていた。また、ジプシーが居留した場所でそれらの音楽が発展する例がヨーロッパ各地で見られる。その中にはスペインのフラメンコ、ハンガリーのフォークロアがあるが、特にダルシマー音楽はハンガリーにおいて発展した。 ダルシマーとは写真のように台形のボディーに金属製の弦が張り巡らされた構造で、大きさは様々である。ジプシーに好んで用いられた理由はやはりその携帯性であろう。それはヴァイオリンが彼らに好まれたのと同様である。ハンガリーにおけるジプシー音楽は深い叙情性と超絶技巧が特徴と言えるだろう。それはクラシック音楽の中でハンガリーのロマ音楽をモチーフにした作品・・・チャルダッシュ、ハンガリー舞曲、ハンガリー狂詩曲・・などなど・枚挙に暇がないが、これらの作品群にも表れている。 それでは、実際にハンガリーのジプシー音楽におけるダルシマー演奏がどのようなものであったか聞いてみたいと思う。これはかなり「ピアニスティック」な部類に入るが、見かけはシンプルなこの楽器からこんな表現が生まれてくるのは驚異的である。 ダルシマー演奏(Hungarian Concerto) つづいてツィンバロンである。この楽器はさらに発展して、大きさも大きく機構も複雑になっている。ピアノのようにダンパーペダルがついている。近代ではハンガリー民族音楽でよく用いられている。ダルシマーよりも表現が豊かだ。 ハンガリーのジプシー歌曲をCsics? N?meth J?noの演奏で。 ツィンバロン演奏(Hungarian Gipsy Song) ダルシマーと言う楽器はヨーロッパから東アジアまで広く行き渡っていた。所によってサントゥールとか楊琴などと呼ばれている。この写真は中国の楊琴(ヤンキン)である。横に日本人形が置いてあるのは単に博物館の管理人が東洋文化をよく理解していないだけで、この楽器が和楽器でもあったということではない。しかし日本にも伝わっていた可能性は十分にあると思う。いずれにせよこの楽器が世界中の音楽文化の運び手となっていたのは事実である。 ダルシマーと似ているが、弦をはじくことで音を出す「プサルテリウム」という楽器がある。系図上はダルシマーの前の段階の筏チターから派生したものであるが、プサルテリウムはまもなくチターへと発展していったのであまり広まらなかったようだ。僕が見たことあるのはブリュッセルとゲッティンゲンの楽器博物館の計2台のみで、あまりお目にかかれるしろものではない。ダルシマーがピアノの先祖とされるのに対し、プサルテリウムはチェンバロの先祖とされている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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