見学させて頂いたのが、9月11日のことですから、随分間の抜けたUPということに。
私たち、「心豊かな人を育てる500人委員会・伝統文化伝承部」が色々検討を重ねた結果、子どもたちのパワーを分けて頂こうということで、毎週火曜日午後7時半から稽古をしているとお聞きし、稽古場へ集まることに。
午後7時過ぎでは真っ暗。辺りも真っ暗。田圃の間の路をぬうようにして入ることになるのだが、その道が解らない。正直、地元に育って、こちらを訪ねるのは初めてのことなので、どこに建物があるかぐらいはわかっていたつもりだけど、イザとなると、入る道がわからないのだ。辺りは田圃だし、頼みの綱に思っていたガソリンスタンドも既に閉店していて真っ暗。
県道阿万線沿いに走れば間違いなく辿り着ける筈だったのに。。。と、何とか入る道を捜しあてて駐車場へ到着。程無く代表のかたが表れ、灯りを。
総勢13名と、師匠さん。そして代表のかた。ただ、人形遣いの人は二階で稽古されているということで、先ずは太夫さんの稽古風景を見学させていただく。
下題は傾城阿波の鳴門巡礼歌の段お母さんお弓さんの役は小学校4年生になるという男の子。そして、何とお鶴は小学2年生のこれも男の子。言葉さえ難しいのに、音程(というのかどうか)にかなり高低差があるのに、五線譜も無い、ただ師匠の言いまわしをそのまま覚えて、頭に叩き込んでいるようで、師匠が、「もっと高く!」と言うと、師匠の思う通りに高い声が出るのが不思議だ。物真似と言ってしまえばそれまでだけど。
練習が始まる前に、テーブルを囲んで師匠を正面に、子どもたちはテーブルを囲むように整列し、「お願いします」の挨拶で始まる。教本と言っても、あの浄瑠璃で使うそのままの文字が印刷された物を見ながら。これは簡単に読めるものではない。全て師匠の声を聴いて覚えてしまうのだから大変だ。どんなあらすじなのかも予め教えると言うことは無く、ただ師匠の口ぶりを聴いて、そのままに覚えるのだから凄いと思う。
両親が突然いなくなってしまったお鶴。そして、母を訪ねて巡礼の旅に出る。娘とは知らぬ母親。母親とは知らぬ娘。話すうちに、名前や生まれ育った場所などがわかり、お弓は、我が娘に違いないと確信を持つ。。。
そんなやりとりを、小学生が演じるのだから凄いと思う。迫真の演技というのかなぁ。小学4年生の子はみんな放課後は野球もしているらしい。色々忙しいだろうに、週に一度の練習のときには、きちんと演じられてしまうまでに覚え込んでいるというのが凄い。
私たちがお邪魔したのが練習を初めて何度目の練習に当たったのかまでは確認できなかったけど、師匠の声を聴き漏らすまいと、一心にお稽古している姿は本当に微笑ましい。
一緒にお邪魔したメンバーの中に、子どもたちにお琴を教えていらっしゃる人がいて、例えば、老人福祉施設などへ訪問に行って披露すると、とても喜ばれるとのこと。子どもたちの素晴らしいパワーを頂くことができると仰るので、伝統文化の中の、淡路人形浄瑠璃に着目し、子どもたちがやっている場所があるということで見学させていただくことになった次第。
学年が違う仲間が集まるのがとても楽しいこと。お稽古が終わるとみんな団子になって遊んでいる。代表者のかたは教職にあられたかたで、今は退職されたとかで、「誇れることはこの仲間の中には不登校になった子が居ない」と胸を張っておられた。色んな人と交流できることがどんなに素晴らしいことか。というようなことを語ってくださった。
結構、対外公演などの機会があるようで、あちこちへ移動されているとのこと。本当は、中学生になっても続けて欲しいけど、受験という問題があって、流石に中学3年生の姿は無かった。三味線は現役の高校生。こちらの子ども会のOGに当たるのだとか。やはり三味線が無いと稽古にはならない。とても重要な役割を担っていらっしゃる。
代表のかたというのは実は私が高校生だった頃は、体育系の科目の担当だったかと思う。人形浄瑠璃を扱う、郷土部というのがあったけど、顧問をしていたという話は聴いたことが無い。それでも、地区に住んでいらっしゃるということで何かできればとお手伝いに始まって、世話人代表ということになってしまったようだ。
お兄ちゃん、お姉ちゃんがやっていたから。とか、やはり一緒について練習会場へ足を運んでいたことがきっかけだったりもする。
10年前までは、何と人間国宝鶴澤友路師が師匠を務めていらっしゃったと聴いて驚いた。「違う!」の一言に何度も挑戦し、最後には無口になり、涙を流し。。。ということもあったらしい。稽古は相当厳しかったようだ。
現在の師匠は、現役の淡路人形座のかた。若い子たちに囲まれて大変そうだけど、それでも稽古の最後には「ありがとうございました」でピシッと締まる。
学校の授業や、放課後の野球と大変だけど、週に一度のお稽古の日は必ず集まるという面々。お稽古が終わると、本当に普通の子どもたちに戻ってやんちゃしているところが素晴らしい。
お世話されるかたは大変だけど、これからもずうっと継続して行って欲しい。ただ、子どもが少ないために、地区には拘らず、やりたいと思う人があればどうぞ。ということだし、毎週火曜日の午後7時半からお稽古しているので、見学もいつでもどうぞ。ということだ。
貴重なお稽古風景を覗かせていただいて、子どもながらに一生懸命師匠の口を真似て覚える力だけでも凄いなぁ。と驚かされるばかり。耳で覚えるって本当に凄いと思う。若いからこそできるのかなぁ。
二階へ上がって、人形遣いのお稽古風景を見学することはできなかったけど、また機会があれば。と思う。会場の皆さん、本当にありがとうございました。