【6】 Day 3 - オールドマクドナルド ~ バンドンデューンズ
オールドマクドナルド、このコースを語るために必要なのはアンジュレーションと素材だろうか、、、そしてバンドンデューンズの4つのコースの中で本当の意味でのリンクスコースと言えるのはこのコースに違いない今日は残りの2コース、オールドマクドナルドと初日に9ホールだけ回ったバンドンデューンズを旅する日だオールドマクドナルドは今年の6月にオープンしたばかりだがアメリカあるいは世界のゴルフの多くのメディアに取り上げられていて、すこぶる評価が高いもしかしたら将来はバンドンデューンズやパシフィックデューンズをしのぐ存在になるかもしれない、そんな話をバーでする人もいたくらいだそれを裏付けるように2010年9月号のゴルフマガジンでは、アメリカ国内のパブリックコースで、開場から2か月しか経っていないオールドマクドナルドが10位にランクされている3番ホールはブラインドホール枯れ木を目がけてティショットを打って行く木の右側を狙えば丘を超えるのに必要なキャリーは少なくて済むが、セカンドショットは遠くなるこの丘を反対側から見ればとてつもない下り傾斜になっているブラインドホールをフェアでないと言う向きもあろうが、その土地が持つポテンシャル、そしてゴルファーのスピリットに訴えかける方法としては悪くないとjunhiroは思うこの日は、50代半ばくらいのブライアンとマリアン夫妻と、カートの3人に混ぜてもらってのラウンドだ 3人ともバンドンデューンズには何度も来ていてすっかりお気に入りのゴルフ場だという。 夫妻は遠くフロリダから、カートははシアトルからやって来たという。 自己紹介の時にマリアンが何やら話したのだが早口で聞き取れなず、適当に相槌を打った後にブライアンが自分たちは3日前に結婚したんだと教えてくれたのを聞き、彼女もそれを言っていたとすぐに理解して、あわてて彼女の元に侘びと、そして、おめでとうを伝えた二人は以前から付き合っていて、昨年ここを訪れた際にパシフィックデューンズの17番ホールで彼がプロポーズしたのだとか。 そして、今回はこのリゾートで結婚をし、友人のカートとゴルフを楽しんでいるのだそうだやっぱりここは多くのゴルファーにとって特別な土地なのだと改めて感じた残念ながら羊が掘ったバンカーではないが盛り上がったこぶを削れば、こんなバンカーがあちこちにできてしまうさて肝心のコースだが、まだラウンドしたことはないがスコットランドのセントアンドリューズはきっとこんなコースなのだろうと想像したフェアウェイ、グリーン共にアンジュレーションが想像を超えるほど大きく、ボールどころか人の姿を簡単に隠してしまう。 セントアンドリューズには18番のグリーンの前にValley ofSinと呼ばれるくぼ地があるが、あんなイメージのくぼ地があちこちにあり、時にはグリーンの中にもそれが横たわっている自分の腕のせいだという事は十二分に認識しているが、写真で立体感を表現するのは本当に難しいひとたびこのデコボコ感を体験したならば、他のコースの凹凸がかわいく見えるに違いないフェアウェイは他のコースと比較すると砂の上にやっとフェスキューが根付いた感じで、クッションはなくボールが転がるのでこの傾斜を注意深く読んでボールを運ばなければならない。 その状況ではボールを上げても、自分が狙ったまさにそのスポットに落とさない限りはどこに跳ねてしまうかわからないので、ともかくボールを転がすことが要求される7番はショートと呼ばれる350Y足らずのパー4だただし、グリーンへのショットは急激な打ち上げが待っているなるほど、これこそ真のリンクスゴルフだろう。 バンドンデューンズやパシフィックデューンズは、海沿い、打ち上げや打ちおろし、ポットバンカー、にもしゃもしゃのフェスキュー、砂地でランが出る波打つフェアウェイに、うねったグリーンと一通りのリンクスの要素は満たしているが、オールドマックほどボールを転がさないとゴルフにならないと思わされたコースはないこのコースはオープンしたばかりなので、ところどころに生えているゴースはまだまだ若木だが、芝が厚みを増し、ゴースが成長する5年後にはとんでもないコースに化けているに違いないと直感的に感じたそしてその思いは日本に帰ってからますます大きくなったそして7番のグリーンに乗せた瞬間に待っている光景は太平洋を一望する素晴らしいものだが、、、実はjunhro、ここでグリーンのあっちとこっちで往復ビンタを喰らい、この景色を楽しむ余裕が全くなかったところでオールドマックの名前の由来だがアメリカのゴルフ設計家の始祖であるマクドナルドに敬意を表して名づけられている。 アメリカにゴルフが入ってきた当初のコース設計はスコットランドから渡ってきた人が手掛けていたそんな中で設計家として名を残した最初のアメリカ人がマクドナルドなのだそうだ。 とはいえ、ここバンドンで作られたこのコースはの意匠にもとづいてコピーをするわけではなく、偉大なゴルフと言うゲームの精神を活かし、彼の時代にゲームの主流だったグリーンとウェアウェイの切れ間がなく、50メートルからでもパットができるようなそんなゴルフ場を作ったのだそうだカートがつかまったポットバンカー幸いなことにポットバンカーにつかまった事は4.5ラウンドを通じて一度もなかったが、逆につかまってみたかった、それを経験してみたかったと思う気持ちがあることも事実だしかし、それにしてもものすごいアンジュレーションに打ち上げだ。 いくつかのホールでは砂山の向こうにグリーンがあったりしてキャディやガイドがないとどこにいるのかさえわからないようなところもある。 アイルランドでラウンドをしたバリーバニオンやラヒンチでも同様のホールがあったことを思い出したコース設計家はコース予定地を丹念に歩き回り、コースを特徴づけるシンボルを探す。 トムはこの枯れた木をシンボルの一つとしたわけだALPSと名前が付けられた16番ホールでは、スコットランドのプレストウィックのそれと同じくDune、つまり砂丘を超えるショットが要求される。 砂丘を超えた向こう側にグリーンがあるのだがピンの位置はおろか、グリーンすら見えないのだ。 そして、パッティングを済ませるとグリーン脇の鐘を鳴らして後続にグリーンが空いた事を知らせる仕掛けになっているALPSの他にもEden, Sahara,Biarritz, Redanなどなど古のリンクスのホールをミニマリズムの原則に則り現在に再現したホールが続いているアルプスと呼ばれるホールはロングヒッター以外は2打目がブラインドとなる。 写真右奥の丘の向こうから見えないグリーンに向かってセカンドショットを強いられる運良くパーオンしたが20m近いパットが残った。 気合いを入れたパットが30センチほどに寄り、ブライアンのキャディがボールを蹴って返してくれたのは嬉しかった写真の左手前に見えている柱が後続にグリーンが空いた事を知らせる鐘だ18ホールを旅して思ったことは、しつこいようだがこのコースはおそらく今後数百年に渡って人々の心を魅了するコースになるだろうという事セントアンドリューズが多くのゴルファーに愛されたように、、、ただし、スルメのようなコース故、一度の旅では足りない2度、3度と足を運びこのコースの奥深さを知った時にはこのコースに虜になっているだろう。 そしてそう遠くない将来、バンドンデューンズを代表するコースと言えばバンドンデューンズでもパシフィックデューンズでもなくこのオールドマクドナルドになっているのではないかと思うオールドマックのフェアウェイは相当に広く常識的に考えればフェアウェイを外すことは中々に難しいが、このポジションから写真を撮っているという事はその難しい作業を成し遂げた証拠だUSGA(アメリカのゴルフ協会)の重鎮たちがこのコースの視察ラウンドをした時の評価は必ずしも高くなかったそうだ曰く、このコースには戦略が存在しない。 設計家の意図が感じられないという事だ。 それに対して若手のメンバー達は別の考えを持ったという。 確かに広大なフェアウェイとグリーンを持つこのコースには、コース自らが指定する戦略、ポイントがないように感じられるかもしれないしかし、戦略はコース設計家が決めるものではなく、プレイヤー自らが決めるものであり、この広大なフェアウェイもグリーンもプレイヤーの意図で攻めようがいくつも存在するのだとつまり算数のように一つの答えを追及するコースなのかあるいは国語や道徳のようにどのように解釈をするかを問われるコースなのかと言う事だ時間をかけてこのコースが熟成されれば、その評価はますます上がるだろう。 そして21世紀のセントアンドリューズという称号をもらえるかもしれないその称号をオールドマックが喜ぶかどうかは別問題だが、、、