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新聞記事文庫 犯罪,刑務所および免囚保護(3-037) 大阪毎日新聞 1921.2.19-1921.2.24(大正10) 阿片の密売がナゼ多いか (上・下) 淳朴な農民の中から近来続々として犯罪者が出て来るようになった 阿片の主産地府下三島郡 (上) 最近門司の税関其他で発見された大密輸出を始めとして近来阿片の密売買が盛に其筋で検挙される大阪府下就中三島郡は我国に於ける罌粟栽培阿片生産地として有名だが矢張土地柄だけに近来そうした阿片密売買の犯罪が著しく多くなった、何故阿片はソンナに厳しい法律の裏を潜ってまでも盛に密売買されるか、又果して之が取締の方法はないものであろうか 阿片は其含有して居るモルヒネが必要なのである、我国では医薬と長い習慣から之を吸飲しなければ生きて居れないという一部台湾人に対し総督府が特許している 其吸飲料(大正七年現在五万五千七百七十二人、所要阿片価格七百五十万二千二百四十五円)として一箇年約四万五千五百貫(大正八年内務省調査に依る)を要する 処が其中で日本内地で生産されるものといえば僅々五百貫に過ぎなくって四万五千貫(三千三百万円)即ち九割九分迄が印度土耳其等の海外から輸入されて居る、故に当局では之に対して内地の罌粟栽培(俗にいうケシ坊主から分泌する乳汁を採取してソレを乾かしたものが即ち阿片粉末である)を色々と奨励し其結果大正元年には全国で僅に二十二貫しか出来なかったものが大正八年には四百五十貫、昨九年には一千貫以上を生産するようになった、無論之を前記の我国の所要額に比すればお話にもならない少額ではあるが其の産額の殆ど九割(昨年政府への納付高八百四十四貫、台湾総督府への直接納付高を加え約九百貫以上)を出す主産地が大阪府の三島郡一円である事と随って其処に忌むべき密売買という犯罪が間断なしに行われ而して常習者は兎もあれソレが為めに拭うべからざる犯罪者の汚名を蒙る無辜の農民が続出するという事は決して軽視すべからざる一つの問題ではあるまいか、先ず阿片の密売買され易い種々の原因を探究して見ると大体左の四つに分ける事が出来る 一、収益の非常に多い事 二、採取高を胡麻化し易い事 三、取扱に便宜である事 四、常習者の誘惑 政府の最近の生産者に対する阿片賠償価格は百匁(モルヒネ含有量十三パーセントとして)三十円であるが之を密売すれば五十円六十円は普通で百円近くにも売れた時がある、単純に儲かるという上からいえば蓋し農家の一副業として此位にボロイものは恐らく他にあるまい、是第一の原因で第二は同じ政府の監督の下に栽培する煙草は作物が成熟すれば係官が来て一茎に葉が何枚、内枯葉が何枚というような事を検査するから採取に際して胡麻化す事が困難であるけれども罌粟の方はその採取に就いて非常に微妙な技術を要する、即ち子房(俗にいうケシ坊主)に剃刀や小刀で切傷をつけてソレから分泌す阿片となるべき乳汁を採るのだが其切り方の極く僅な上手と下手で採取量に非常の多寡が出来る一例がソレで其他播種の芽生の良否、地味施肥の関係、天候の影響等に依って必ずしも同じ一反歩だからといって一様の産額を見る訳には行かない、其処でよくない栽培者は出来が悪かったという様な理由で五百匁収穫したものを三百匁輸入して残額の二百匁を胡麻化す (下)第三には仮りに一反歩で五百匁採取したものを三百匁しか採れなかったといって残余の二百匁を隠匿していても煙草のような可成大嵩なものならば兎も角阿片の二百匁位は実に小さいもので何処へでも隠して置ける、だから怪しいと睨んで警官が其家宅捜査をするとしても先ず発見は不可能だといってよい、そしてソレを百匁六十円即ち百二十円に密売すれば政府へ渡した倍の収益があるのである、ボロイという事が単純な農民の頭から何物をも忘れさせる、其処へ第四の原因として数えた常習者、その方面では栽培者から百匁二百匁と少量宛を買集めるので俗によせ屋といっているが之がソッと出て来て何処でも買った其処でも買ったというような事をいって密売して了う、一度斯うして旨い味を占めると栽培者の農家の方でも其味が忘れられない、常習者又然りで次から次へと悪習は伝播して正直な栽培者は所謂馬鹿正直だといった風に見られ密売が寧ろ当然であるかの如くに行われて居る 三島郡の栽培は従来郡当局で監督して居たが何うも旨く行かないので昨年から之を警察の手に移し当時の小林茨木署長の(現府高等警察課長)は刷物まで配って極力農家の覚醒を図ったが殆んど何等の効果もなかったと今も小林氏は慨嘆して居る 一方昨年八月一日から阿片法が厳しくなって従来犯罪者は五百円以下の罰金であったものを千円とし新に二年以下の懲役に処すという体刑が加わったけれども犯罪者は依然として減じないのみか寧ろ増加している 試に昨年中府下で検挙された同郡の犯罪者を見ると 茨木本分署三十八名▲府下他署十六名▲合計五十四名 之を二人以上出した町村別にすると 十名安威村▲九名阿部野村▲八名玉櫛村▲六名茨木町▲五名福井村、三島村▲三名豊川村、石川村▲三名溝昨村、富田村 で安威村の如きは栽培者百六十四名中実に十名の犯罪者を出しているのである、犯罪の遣方は反別のゴマ化し即ち一反歩と届出をして置いて実は一反二畝歩耕作すると云った風なのと収量のゴマ化しが最も多い、最近は著しく犯罪者が殖えて本年に入ってから僅に一ヶ月半の間に既に茨木署では五十余名を検挙した、そして目下尚取調中のものが十数名あって其内には一村の名誉職など相当身分のあるものさえ加っている、何しろこの種の犯罪は関係者が悉く罰せられるのであるから売買の間にドンナ事があってもソレを明るみへ持出す訳に行かぬ、だからよせ屋にゴマ化されて持って行かれて了ったのを現品を一塊の土くれと掏替えられたのや代金現品の横領詐欺甚しいのは強盗などいったのが随分ある、現に昨年の如き或村の某が三千円ばかりの阿片を隠匿しているのを知った大阪辺の常習者は三人共謀して某を誘出し其留守宅へ行って女房に「今お前さんの亭主が茨木駅で待っているから阿片を駅まで持って来て呉れ」と女房を俥に乗せて出した途中で俥夫や女を撲り付けて阿片を強奪した事がある俥夫はソンナ事とは夢にも知らないから撲られた事を他人に話した、ソレが警察の耳に入って某夫婦から強奪者まで全部検挙されたというような事もある 兎も角罌粟の栽培阿片の生産ソレ自身は今日農家の裏作として麦を作るよりも凡ゆる点に於て遥に収益が多く一は年々多額の輸入を幾分なりとも防遏するためには一層其の栽培を奨励する事は必要であろうけれども此中から斯くの如く続々として淳朴なる農民の犯罪者を出すというのは誠に寒心すべき事である 笹川良一センセイの故郷は ここに出てくる 大阪府三島郡豊川村ですね 商品先物取引で巨万の富を作り 藤吉男などに担がれて 国粋大衆党総裁になったのですが さて統制経済が強まる中で そんなに先物で金がつくれたか また政治資金にまわすほど安定して稼げたか なぜ総帥になれたのか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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