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じゃくの音楽日記帳

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2011.01.03
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カテゴリ:演奏会(2010年)

正月休みも今日で終わりです。昨日にひき続き、今度は2010年のブルックナーの演奏会をまとめておきます。

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  • 4番  クレー/都響              10月25日 サントリー
  • 5番 ブロムシュテット/N響    4月22日 サントリー
  • 7番 尾高/N響                    5月14日 NHK
       同上                          5月15日 NHK
       ルイジ/PMF                8月4日 サントリー
       スクロヴァチェフスキ/読響 10月16日 サントリー
  • 8番 インバル/都響             3月25日 東京文化会館
       スクロヴァチェフスキ/読響  3月26日 サントリー
       ティーレマン/ミュンヘン 3月28日 サントリー
       チョン・ミョンフン/東フィル11月19日 サントリー
       スダーン/東響          11月27日 サントリー
       尾高/読響               12月13日 サントリー
  • 9番 尾高/東フィル            2月18日 東京オペラシティ
       ハウシルト/新日フィル 3月13日 すみだトリフォニー
       メスト/ウィーンフィル  11月9日 サントリー
       スダーン/東響           7月11日 サントリー

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2010年のブルックナーは、スクロヴァチェフスキの7番にもっとも深い感銘を受けました。スクロヴァのブルックナーは皆すばらしいけれど、7番が特にすばらしいと個人的には思います。

あとほかに聴いた昨年の7番は、尾高さんは第一・第二楽章を軽めに流し、第三・第四楽章に重みをおいた演奏で、僕の好むやりかたと逆で、楽しめませんでした。ルイジは、部分的にゆっくり演奏して味わい深いところは多々あった(第一楽章第一主題や第四楽章第二主題など)けれど、全体の流れの一貫性が感じられず、やはり僕としては入り込めない演奏でした。

次に8番です。昨年はいろいろな版の8番が聴けて有意義でした。インバルが第1稿。あとはすべて第2稿で、スクロヴァがノヴァーク版ではありますが言わば「スクロヴァ版」、スダーンとチョンがノヴァーク版、 ティーレマンと尾高がハース版でした。僕が感銘をうけた演奏は、スダーンとティーレマンでした。

インバルは第一稿という点では貴重でしたが、演奏スタイルはフランクフルト放響とのCDと同じでいかにもテンポが速すぎて、この稿の魅力を生かしてないと思いました。(シモーネ・ヤングさんのような演奏こそ第一稿の魅力を伝えてくれると思っています。)いずれにせよ第一稿による演奏がもっともっと増えていってほしいものです。第一稿のすぐれた演奏が増えていったら、将来はハース版は中途半端なものとして存在意義が薄れていくかもしれないと思います。

チョン・ミョンフンのブルックナーは、3年ほど前に東フィルとの6番、N響との7番を聴きました。東フィルとの6番は、テンポがやたらに速くてせせこましく、つまらない演奏でした。しかしその直後に演奏されたN響との7番はまったくスタイルが違って、ゆったりとしたテンポでスケールの大きい名演でした。その格差の大きさに驚いたものです。それで今回の8番は予想がつかないで臨みましたが、結果的には凡庸な演奏でした。東フィルは、ともすれば音が荒れてうるさく聴こえてしまうことが少なくなく、今回もそうなってしまいました。チョンは東フィルから現在最高の称号(桂冠名誉指揮者)を与えられている指揮者ですが、東フィルを演奏する機会が激減しつつあり、もはや東フィルと相性が良くないのでは、とまで思ってしまう演奏でした。

スダーンの8番は、昨年の記事に書いたように、早いテンポでひきしまった、すばらしい名演でした。昨年同じく東響と演奏された9番とはかなり異なるスタイルで、良い意味で予想を裏切られました。ノヴァーク版第二稿の特性をうまくいかした演奏でした。

一方ハース版の良さが出ていた演奏としては、ティーレマン。ミュンヘンフィルの実力もあって、こちらは予想通りの、堂々たる鳴りっぷりの8番の響きを、充分に堪能しました。同じくハース版を用いた尾高さんの8番は、3台のハープを使用し、尾高さんらしく誠実で丁寧な演奏ではありましたが、丁寧すぎて音楽の推進力が失われてしまった感があり、残念でした。

9番は、ウィーンフィルの来日公演が指揮者とプログラムが二転三転し、結局メストの指揮で聴きました。第二楽章の途中で入りのタイミングの目立つミスが出たりして、ウィーンフィル本来の調子ではなかったと思います。それでもウィンナホルンやワーグナーチューバの渋い音色はいぶし銀の魅力があり、この音色で9番を聴けただけでもありがたい体験でした。

昨年聴いた9番で個人的にもっとも感動したのは、尾高&東京フィルでした。会場は東京オペラシティでした。このホールではうっかりすると金管がきつくうるさく響いてしまい、特に東フィルではその傾向が強く、2階で聴いた友人はそのような感想を話していました。僕は1階平土間のかなり前のほうで聴きました。幸いにもこのあたりの席だと金管の響きがかなりマイルドに緩和されて聴けるので、うるささが気になりませんでした。そして尾高さんの指揮も、悠然としたもので、スケールある音楽が立ち現れていました。昨年は尾高さんの7番(N響)、8番(読響)、9番(東フィル)を聴きましたが、9番がずば抜けて良い演奏でした。

さて2011年は、どんなブルックナーが聴けるでしょうか。早くも2月には、大植&大フィルの9番がありますね。心して聴きたいと思います。ほかに注目は、やはりスクロヴァチェフスキ。10月にザールブリュッケンを率いて来日し、4番と9番をやります。(読響とは2012年3月の3番までお預けです。)そして読響といえば、われらが下野竜也が読響でついにブルックナーを振ります。7月に4番です。時は熟し、スクロヴァから「君、そろそろいいよ」と許可が出たのでしょうか。楽しみです。






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Last updated  2011.01.04 00:37:05
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