カテゴリ:演奏会(2011年)
サイレント映画「オペラ座の怪人」、オルガン即興演奏付きの上映会に行きました。 1月15日、武蔵野市民文化会館小ホール 僕が以前みた「オペラ座の怪人」は、2004年制作のアンドルー・ロイド・ウェッバーの音楽によるミュージカル映画です。これをテレビで見て、すごく面白かったので、今回来てみました。昔の映画ではどうなっているのか、それとオルガン即興演奏に興味津々でした。 このホールには中型のいいパイプオルガンが、舞台奥正面に据えられています。今回は、上手側(オルガンの右側)に大きなスクリーンが設置されていました。プログラムには、上映時間75分、休憩なし、と記載されています。 やがてオルガニストが登場し、オルガンの前に着席しました。即興ですので譜面台に楽譜はなく、代わりに譜面台の右に小さな映像モニターが置かれていました。それを見ながら音楽が演奏されていきます。ただし即興とはいっても全くのインプロヴィゼーションではなく、全体の流れはかなり周到に構想され準備されていると思われました。始まりの静かな音楽から、オペラ座でのバレーの舞台での軽快なワルツ、不気味な場面ではそれらしく不気味な音楽と、ふさわしい音楽が途切れることなく流れていきます。全体に聴きやすい音楽で、抑えるところは抑えて映像の邪魔にならず、衝撃の場面では大音響の不協和音を轟かせ、場面が切り替わるときにはぴったりのタイミングで音楽も変わり、本当に良くできていて75分があっという間に終わる充実の体験でした。面白かった! 特に後半で、怪人に連れ去られたヒロインを救出すべく、恋人がオペラ座の地下深くに潜入していく場面からは、グレゴリア聖歌の「怒りの日」のモチーフが用いられ、それが繰り返されながらじわじわと盛り上がっていき、非常に聴きものでした。 この1925年版の映画では、怪人が元オルガニストという設定で、オペラ座の地下の秘密の部屋で怪しくも魅力的なオルガンを弾くシーンがありました。オルガンによる演奏が画面と非常に良くマッチしていたので、演奏するオルガニストと怪人とがだぶって感じられ、まさにその場で怪人が演奏するオルガンを聴いているような、臨場感ある劇的で濃厚な時間を味わいました。 ところでウィキペディアによると、この原作小説が書かれたのは1909年(1910年?)で、最初の映画は早くも1916年にドイツで作られたそうですが、これは日本では未公開ということです。次に作られたのが今回の1925年アメリカ版です。さらにその後数回にわたってリメイクされ、うち1943年版はアカデミー賞を受賞していて、これもいずれ観たいです。そして現時点で最新のものは、2004年製作の、アンドルー・ロイド・ウェッバーのミュージカルを映画化したものということです。 怪人の素性は、リメイク作品のそれぞれで違うらしく、たとえば1943年版では元ヴァイオリニスト兼作曲家だそうです。ですので今回の1925年版で元オルガニストという設定は、オルガンの即興にとりわけふさわしいと思われます。だからこそこういう形の上映会が行われるのか、と納得しました。ネットでちょっと検索してみたら、昨年夏にも横浜みなとみらいホールで、同じ趣向のオルガン即興演奏付きの上映会があったようですし、一昨年にはフランスでも同様なイベントが教会で行われたようです。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.01.20 00:23:03
コメント(0) | コメントを書く
[演奏会(2011年)] カテゴリの最新記事
|
|