大植&大フィルのブラームスチクルスの最終回を、聴きました。
指揮:大植英次
ヴァイオリン:竹澤恭子
チェロ:ダーヴィド・ゲリンガス
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための協奏曲
ブラームス:交響曲第4番
2月9日 ザ・シンフォニーホール
交響曲を1番から順番に、協奏曲とセットで昨年夏から4回にわたって演奏してきたこのブラームスチクルス、僕は1番を聴いたのに次いで、2回目です。
協奏曲はゲリンガス、竹澤さんの両ソリストの貫録ある演奏が聴きものでした。盛大で温かい拍手にこたえて、なんとなんとアンコールに、もう一度第三楽章をやってくれました。これ、急に決まったらしく、オケは楽譜をめくるのもあわただしく、いきなりの第三楽章が始まりました。アンコールの第三楽章は一段と自在な音楽になり、いい演奏でした。再び盛大な拍手。会場全体がひとつになったようなこの親密感、毎度ながら、ここならではの魅力です。
さていよいよ4番です。昨年の1番は、第二、第三楽章のゆったりとした温かな歌が、じんわり心にしみる素晴らしい演奏でした。一方両端楽章は緩急変化が大きく、重厚路線でない、僕はちょっと肩すかしをくらったような印象でした。(詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
そこで今回の4番は、僕としては第二楽章の歌にもっとも期待をしていました。(本当はこういう期待はしないでニュートラルな姿勢で臨むほうが良いのでしょうけれど。)その第二楽章は、さすがに大植さんらしい、じっくりとした歌が聴けました。これだけでも十分にすばらしいと思いましたが、ここまではいわば想定内のすばらしさ。しかし第三楽章からが、想定を裏切るさらにすばらしい演奏になりました。力強く、エネルギッシュ。とくに終楽章は、非常に力の入った、すごい演奏でした。大植さんの指揮は、以前のマーラー6番のときを思い出すような、気迫みなぎるキューの連発で、オケもがっちりと十分に鳴っています。剛の魅力全開。かと思うと、合間のフルートソロなどのひそやかな美しさも十分です。巨大でいて弛緩することない、高密度の時間でした。満足です。
なおオケの配置は両翼配置で、協奏曲は下手側だったコントラバスは交響曲では後ろに一列に並び、ティンパニは協奏曲では後ろの正面から交響曲では上手側に移動。このティンパニが、交響曲で、楽章ごとの音の音色の変化がはっきりしていて、かなり良かったです。とりわけ第三楽章の硬めでややこもった感じの音から、終楽章で切れの良い鮮やかな音色への変化が、見事だったです。
このあと大植さんのスピーチがあり、驚愕の、4番の開始異稿「まぼろしの4小節付き」のさわり部分の演奏が行われました!その後さらに大植さんが、ピアノ演奏を交えた秘密(^^)の特別レクチャーをしてくださるという、超豪華特別二大付録付き!のコンサートでした。レクチャーの内容は、大植さんの「ブログには書かないでね」というご希望があったので伏せておきますが、非常に興味深いお話でした。(この演奏会、最初から舞台の下手奥にピアノが置いてありました。あれ、なんでピアノが?と不思議に思っていたのですが、大植さんのこういう至れり尽くせりのサービス精神による思惑だったのですね。)
しかし今夜の演奏会、特別2大デザートもすごかったですが、なんといってもメインの4番が聴きごたえ十分でした。このすばらしいコンサートに参集できて良かったです。大植さんと大フィルのみなさん(と竹澤さんとゲリンガスさん)、ありがとうございました。