カテゴリ:演奏会(2013年)
アルミンク&新日フィルの定期演奏会、ブルックナーの5番を聴きました。
4月11日サントリーホール。 もともとは来る予定はなかったのですが、思いがけず仕事のスケジュールがあいたので、これはチャンス、と思って当日券を買って聴きました。アルミンクのブルックナーを聴くのは今回が初めてでした。 普段の新日フィルの音の個人的な印象というと、弦が硬質というか、ちょっと刺激的で聴きづらい感じが多少していました。しかし今日の弦はそういう印象を払拭する素晴らしい音でした!すべすべした絹のような音ではなくて、なんというか木綿のような、手ごたえあるというか、なんとも味わいある、いい弦楽でした。木管も、普段は割と硬質というか、ふくらみの乏しさみたいな印象を少しもっていました。しかし今日の木管は、温かみとふくよかさがありました。金管も柔らかく、変に主張しすぎないというか、ちょっと奥から響いてくるような、良い響きでした。特にトランペットは良かった。 そして何よりもアルミンクのブルックナーがこれほど良いとは思いませんでした。第一、第二、第三楽章が陰影があり、本当に素晴らしかったです。基本ゆっくりの歩みで、丁寧な音楽づくりで、じっくりと聞かせてくれて、しかも若干のアッチェレランドやルバートを交えて、良い意味のめりはりがあって、音楽に本当に浸れました。 第二楽章は特に深みがありました。弦楽合奏の第二主題がゆっくりと歌われ、本当に美しかったし、それから楽章後半の、第一主題が回帰するところも、ゆっくりしたテンポで、六連音符がせわしくなく聴けて、じっくりと味わえました。 第三楽章も、急なテンポで始まったすぐあとに、テンポが落ちて弦の第二主題が歌われるところが、「あーここワルツだったんだなぁ」と実感するような、楽しげな舞踊の感じがして、新鮮な感じがしました。第三楽章が終わってもアルミンクはすぐには指揮棒をおろさず、低弦の胴の余韻がしばらくして完全に消えてから、ようやくタクトを下すという気合の入りようでした。聴衆もそれを感じ取って、タクトをおろすまで皆息をひそめていました。 第四楽章も、決して悪いできではなく、充実した音楽ではありました。ただ僕としては、第一から第三楽章までがあまりにも充実して高密度だったので、それを受ける終楽章のドラマとしてはやや不完全燃焼の感がありました。第一主題によるフーガ、それからコラール主題によるフーガ、このふたつの大規模なフーガのテンポが、ここまでの今夜の演奏の流れからすると、やや速すぎたのと、コーダも、真に巨大な盛り上がりを形成するにはややテンポが速かったのが、ちょっと残念でした。 でも、全体として非常に充実したブルックナーで、きょうの演奏が聴けて本当に良かったと思いました。(メッツマッハーさんが新日フィルを振ったブルックナーよりも、数段違う格を感じました。) このコンサートのチラシには、「(アルミンクの)構想10年」と書いてあって、ほんとかなと思っていましたが、今日の演奏からは、確かに相当練られたものだろうと思います。 アルミンク&新日フィルの演奏会も残り少なくなってきました。8月のマーラー3番、心して聴きたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.04.12 01:05:20
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