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じゃくの音楽日記帳

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2013.05.13
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カテゴリ:演奏会(2013年)
尾高さんがN響を振ったウォルトンの交響曲第1番ほかを聴いてきました。
ウォルトン、力と気合のはいった名演奏でした。
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N響第1754回定期演奏会

エルガー 序曲「フロアサール」 
ディーリアス 歌劇「村のロメオとジュリエット」から間奏曲「天国への道」
ヴォーン・ウィリアムズ テューバ協奏曲
ウォルトン 交響曲第1番

指揮 尾高忠明
管弦楽 NHK交響楽団
テューバ 池田幸広

5月11日 NHKホール
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僕が聴いたのは、2日公演の初日、FMで生中継されてた方です。

オールイギリスの素敵なプログラムです。
エルガーの珍しい曲にひきつづいて、ディーリアスが本当に美しかったです。「さすがN響だな、それにしてもNHKホールってこんなにいい音がしたっけ?」と思わず思うような、良い響きにうっとりしました。

ヴォーン・ウィリアムズのテューバ協奏曲は、N響のテューバ奏者池田さんがソリストでした。この曲は、2007年のオーチャードホールでのN響演奏会で、金聖響さんの指揮で、やはりこの池田さんがソロを吹いたのを聴きました。確かそのときのプログラムに書いてあった文章によると、その昔テューバ奏者を目指すことにした池田さんに、父親は、「テューバ奏者になるのなら、N響のテューバ奏者を目指せ。」と言ったそうです。それに見事にこたえてN響入りしたんですね。なんか「巨人の星」みたいな、お父さんも息子もすごい、というお話でした。今回の演奏、池田さんのソロの実力はもちろんのこと、愛らしい第二楽章が気品をもって演奏されたのは、尾高さんの棒の力も大きかったのかもしれません。

さて休憩を経て、いよいよウォルトンの1番。

第一楽章から尾高さんの指揮は遅めの足取りで、テンション高く、気合十分です。N響も引き締まったいい音を出してくれてます。

第三楽章も、尾高さんはじっくりと遅めのテンポをとり、弦楽の繊細で沈痛な響きがずっしりと深く伝わってきます。実にいい演奏です。
なかでもヴィオラが、随所でソロあるいはトップのふたりによる演奏が奏でられ、地味ながら端整な美しさを放っていて、光っていました。こんなにヴィオラが存在感ある楽章とは思いませんでした。

そして迎えた第四楽章は、尾高さんは堂々たる盛り上がりを作ってくれます。文句なしです。
曲の最後でホルン隊が、フーガ主題の冒頭の上行動機を、何度も何度も繰り返すところ、ここが圧巻でした!すごいベルアップで、ありったけのパワーで吹き鳴らすホルン群の響きは、勝利の喜びに激しく興奮して、胸を打ち叩いてあげる、荒々しい雄叫びそのものでした。この雄叫びで最高潮の渦のうちに、20世紀の大鳴り物交響曲がフィニッシュしました。

終わって尾高さんはすぐにタクトを下しましたが、しばし拍手もフライングブラボーもまったく起こらなかったのが、気持ちよかったです。
わたくし、予想をはるかに上回る満足感が得られました。尾高さんとしても会心の演奏だったのではないか、と想像します。

わたくし事前予想では、終楽章に関しては何の心配もしていませんでした。このところの尾高さんのブルックナー7番、8番などを聴いて、良くも悪くもいずれも終楽章に大頂点を築くスタイルが顕著な尾高さんでしたから、もともと終楽章に大クライマックスがあるこの曲の作りに、ぴったりはまるだろうと思っていたのです。一方懸念していたのが第一楽章でした。もしも抑えすぎたり、軽く流しすぎたら困るな、と心配していました。幸いなことに今回の演奏は、第一楽章から気合十分で、緊迫感ある音楽がきっちりと聞こえてきたので、良かったです。

この第一楽章に注文をつけるなどというのはいささか欲張りすぎ、贅沢すぎるということは充分自覚しています。それを承知ですごーくわがままな贅沢をいわせてもらえば、第一楽章がさらにハイテンションで、金管ももっとパワーを出して、ある意味第一楽章で討ち死にするくらいの音楽が展開されていたら、さらにすごかったとは思います。

いやいや、でも、ここまでやってくだされば、十分ありがたいです。
僕はこの曲の生体験は今回が2回目でした。数年前に大友直人氏指揮の東京交響楽団で聴いたのが初体験でしたが、そのときはなんだかまとまりの悪い、とりとめのない演奏という印象をぬぐえず、演奏するのが難しい曲だと思いました。

今回の演奏をきいて、尾高さんはやはりイギリス音楽を振らせたらすばらしいと思いましたし、N響のパワーもあらためて認識しました。ありがとうございました。





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Last updated  2013.05.14 19:29:04
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