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じゃくの音楽日記帳

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2013.08.07
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アルミンク&新日フィルのマーラー3番二日目・その2です。

第三楽章のポストホルンは、きのうの不調に一念発起したのでしょうか、昨日とは別人のような、十分なレベルの吹奏をしてくれました。
(忘れないように言っておくと、ホルンも、きょうは曲全体と通してほころびが昨日よりもぐっと少なく、立派な演奏になっていました。良かったです。)

そして第四楽章・第五楽章の藤村さんの歌唱は、今日も心にしみる名唱でした。

声楽陣の着席も、昨日と同じタイミング、同じやり方で、細心の注意が払われた、納得させられる着席でした。今後「アルミンク着席方式」と呼びたいと思いました。

そしてこの終楽章!やっていることは初日と同じなのに、立ち現れる音楽のたたずまいは、昨日とはまったく違います。昨日のぎすぎすした感じ、「軋み」が、もはやどこかに消えてしまいました。遅めのテンポ、深い呼吸から生ずる音楽の大きなうねりから、深い感動が呼び起こされます。アルミンクと新日フィルの最後の共同作業の場に、昨日は不在だったミューズの神が、きょうは降臨し、祝福してくれたのです。

特に終楽章後半は感動的でした。かなりのスローテンポで、高揚と沈潜をゆったりと繰り返しながら、ついに最後の主題の高らかな愛に結実していくところは、僕の聴いた数々の3番の中でも屈指のものでした。

最後のティンパニーの大いなる歩みのところ(練習番号32~)は、アルミンクは昨日と同様にテンポをあげます。それまでが非常に遅かっただけに、かなり速めに感じます。もしここがそれまで同様のスローテンポだったら、個人的にはもう最高のエンディングだったです。でもこれがアルミンクのマーラー3番。

この速さ、普通なら僕としては感動がやや冷めてしまいかねないですが、今日はそれまでの充実ぶりが半端でなかったからか、あまり違和感なく、こういう解釈もありだなぁと納得できて、感動が損なわれることはありませんでした。(昨日聴いていて心の準備ができていたためもあるでしょうし。)

日の出とともに、新たな意味を帯びた世界に、新たな存在として、新たなる歩みを踏み出していく。ツアラツゥストラ交響曲としての3番のエンディングがそのような意味をもしも持っているとすれば、この部分を速い歩みでよろこびをもって歩んでいくというアルミンクのスタイルは、きょうの演奏会にまさにふさわしかったと思います。ひとつの時代をともに過ごし、ともに切磋琢磨したアルミンクと新日フィルが、これからそれぞれに新たな世界を颯爽と歩んでいく、その新たな時代の門出として、最高にふさわしいエンディングだったと思います。アルミンクの選曲は間違っていなかった。

また一つ、忘れえない3番を聴けました。

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(ここからあとしばらくは、後日追記した分です。)

最後の主和音が鳴りやみ、残響がついに消えていったあとも、素晴らしかったです。アルミンクの棒が高くあがったままのひととき、聴衆の誰一人として拍手しませんでした。初日と同じく、二日目も奇跡的な静寂が実現したのです。

実は二日目の聴衆は、曲の途中で無神経な咳が多かったり、独唱者の入場のときに客席から拍手が始まってしまうなど、初日よりもデリカシーが乏しい感じでした。なので、きょうは終了後にすぐに拍手が始まってしまうかな~、と想像していました。しかしきちんと静寂が保たれたことは、何より良かったことでした。
アルミンクの最終日ということもあっただろうし、また演奏そのものが呼び起こす感動が、真に大きなものだったからこその、静寂のひとときだったと思います。

そしてカーテンコールが続き、最後にアルミンクを、オケが座ったまま足を踏み鳴らしてたたえるとき、いつの間にかコンマスのチェさんの足元に花束が用意されていて、それがコンマスからアルミンクに渡されたのでした。このあたりになると会場も総立ちに近く、アルミンクをたたえます。

そしてオケが引き上げ始めても、拍手は衰えません。オケがみな引き上げても、アルミンクを待つ拍手が客席から続きます。すると、アルミンクとチェさんが連れだって登場しました!二人で指揮台のところで、抱き合ったり、握手をかわしたりして、それを満場総立ちの聴衆が拍手で包み、なかなか感動的なひとときでした。チェさんは純粋な、いい人なのだと思います。原発震災がもたらしたひびが、修復できないにしても、終わりを良い形で締めてくれました。初日の「オケからの拍手事件」も、これであとくされなく、終わりよければ、ということでしょう。

終演後、サイン会が行われる直前の、ロビーにて。左から、今回の演奏会のポスター、アルミンクへの花飾り、2003年の就任演奏会(マーラー3番)の写真です。

Arminc2.JPG

2003年の就任演奏会の写真。アルミンクも、チェさんも、若い!

Arminc3.JPG

(ここまでが、追記した分です。)
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また一つ、忘れえない3番を聴けました。

愛憎があったとしても、それを超えたアルミンクと新日フィルの渾身の演奏に、両者の新たなる旅立ちを、ミューズの神が祝福してくれたのだと思います。

アルミンクに、新日フィルに、幸大きことを。そして日本にも、幸大きことを。








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Last updated  2013.08.27 00:03:03
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