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じゃくの音楽日記帳

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2014.01.06
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カテゴリ:演奏会(2013年)
続いて2013年印象に残った演奏会、声楽編です。

まずその1として独唱ものでは、 

 1月17日 青木洋也/イギリスの古い歌               近江楽堂
 2月 6日 シュトゥッツマン/マーラー、シューマン、ヴォルフ   トッパンホール
10月23日 カークビー/イギリスの古い歌              白寿ホール
11月12日 コジェナー/「愛の手紙」                  東京オペラシティ

1月17日は、カウンターテナーの青木さんが、高本一郎さんのリュート1本の伴奏で、ダウランドやパーセルなどのイギリスの歌曲を歌った一夜でした。近江楽堂は、今回初めて訪れました。東京オペラシティの一角にある、白い壁が美しい小さな礼拝堂のようなスペースで、見上げると高い天井は十字架のイメージで作られていました。この小さな空間で、数十人ほどの聴衆とともに、青木さんによるダウランドやパーセルを身近で聴けた、素敵な体験でした。青木さんのパーセルプロジェクトは今年も進行するのでしょうか、情報がなかなかはいりにくく、入ったときにはすでに都合がつかず聴けないことが多いですが、今年はチャンスがあれば是非聴きにいきたいと思います。

2月6日はシュトゥッツマンがマーラー、シューマン、ヴォルフらを歌うという魅力的な一夜で、大変楽しみにしていました。しかしこのリサイタル、ひとりの聴衆のためにさんざんなものになってしまいました。リサイタルが始まってまもなく、どこかからか、ごくかすかなハミングのような歌声が、本当にかすかですが、断続的に聞こえはじめました。最初はピアノ伴奏の方が口ずさんでいるのかと思いました。しかしそのかすかな声は、だんだんと大きく、耳障りになってきます。後方の客席から聴こえてくるようです。聴衆のどなたかがシュトゥッツマンさんと一緒に口ずさんでいるのです!ありえないです。あまりのことに、休憩時間に、ホールの人に訴えました。僕の他にも、何人もの人が、ホールの方に、「歌っている人がいる、なんとかしてほしい」と訴えました。しかしホール側の人は、「その声はどのあたりから聞こえてきましたか?」と尋ねるだけで、その後何も手だてを打たなかったようです。たとえば休憩時間の終わりに、「口ずさまないでください」とうアナウンスを流すわけでもなく、何もなく後半が始まりました。そうしたら案の定、後半が始まって間もなく、今度はさきほどよりももっと大きな声で、ハミングが始まってしまいました。もはや会場の全員が耳にはっきりできる音量です。しかも、前半は断続的だったのに、どんどんハミングしている時間も長くなり、最後のころはほぼずっとハミングが聞こえっぱなしでした。リサイタルはもう台無し。シュトゥッツマンさんは表向きはにこやかに歌っていましたが、内心どう思われたでしょうか。前代未聞のリサイタルになってしまいました。ハミングした人の非常識さが大問題ですが、もしかして軽い認知症の始まりとかだったのかもしれません。誰か同伴で来ているのであれば、同伴者がたしなめるべきでしょうし、もし一人で来ていても、休憩時間にたくさんの苦情がでているのですから、ホール側が何か対応してほしかったです。確かに個人を特定するのは困難だったでしょうけれど、せめてアナウンスを流すとかの最低限の対応は、ホールの責任として、おこなうべきだったと思います。特にこれはホール主催の公演なのですから、単に場所を提供すればいいというものではないはずです。

10月にはカークビーさんが来日し、響き豊かな白寿ホールで、リュートのつのだたかしさん1本の伴奏で、イギリスの古い歌曲をじっくり聴かせてくださいました。プログラムの文章につのださんが寄せた文章に、カークビーさんの伴奏ができるなんてリュート奏者冥利に尽きるということが書いてあり、そのお気持ちが伝わってくるリュートでした。舞台上に、水分補給のためにティーカップがひとつおいてありました。良く見かけるペットボトルではなかったところに、イギリスの気品を感じました。ティーカップの中は紅茶だったのでしょうか、それとも水分だったのでしょうか。カークビーさんいつまでもお元気で歌い続けてください。

コジェナーさんを聴くのは、何年か前に、トッパンホールでのリサイタルを聴いて以来です。そのときは、ピアノ伴奏(マルコム・マルティノーさん)が僕の好みの人でなかったせいもあったのか、今一つの印象で、以後コジェナーさんは特に聴かずにすごしていました。ラトル&ベルリンフィルとともに来日してマーラーを歌った時も、コジェナーさんなら聴かなくても良いかな、と思ってパスしていました。しかし今回は、古楽の伴奏でイタリアなどの古い歌を歌うということでしたので、とても興味を覚えて聴きにいきました。伴奏のイタリアの古楽グループ「プリヴァーテ・ムジケ」という団体は今まで知りませんでしたが、ギター、リュート、ヴィオローネ、パーカッションなどで、あるときはデリカシーに富み、あるときは楽しさ充分の、イタリアらしい歌心にあふれた、本当にすばらしい古楽グループでした。この伴奏の上に、コジェナーさんのチャーミングな、ときに劇的な歌を楽しく堪能できた一夜でした。





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Last updated  2014.01.07 01:44:53
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