12月16日、「カークビーのクリスマス」を聴きました。アットホームな、素敵なコンサートでした。
「エマ・カークビーのクリスマス」
ソプラノ:エマ・カークビー
リュート:つのだたかし
バロック・ハープ:伊藤美恵
12月16日 白寿ホール
白寿ホールは、小さくてとても残響の多いホールです。ピアノとかを不用意に弾かれると響きすぎてしんどくなってしまうほどです。今回のような小さな音の楽器を小さな編成で味わうには、うってつけのホールです。
カークビーさんはこのホールで良く歌ってくれるようです。僕が今までカークビーさんを聴いたのは、先日のパーセルを入れて確か4回で、そのうち2回がここ白寿ホールです。記憶が不確かですがその2回のうち1回はロンドンバロックとの演奏で、このときは伴奏にいささかデリカシーが乏しくて、折角のカークビーさんの歌がもったいなかったです。もう1回は、今回と同じつのだたかしさんのリュートとのリサイタルでした。このリサイタルのとき、カークビーさんは水分補給のために、ペットボトルではなくティーカップを椅子の脇のサイド・テーブルに置いていました。イギリスらしくて素敵でした。ティーカップの中身が水なのか紅茶なのかは謎でしたので、もしも今回もティーカップだったら、あとでサイン会があればそのときにお尋ねしてみたいなぁと思っていました。でも今回は普通にペットボトルでした。
このコンサート開催にあたってつのだたかしさんとカークビーさんが曲を相談して、もうクリスマスが近い時期だからクリスマスコンサートでいいでしょう、ということになり、カークビーさんが選曲してプログラムを組んだ、ということでした。
リュートあるいはバロックハープのソロや二重奏があり、そしてリュート伴奏あるいはバロックハープ伴奏によるカークビーさんの歌があり、もちろん3人の演奏もありと、いろいろ楽しめました。3人全員が、自分が演奏しないときでもいつもステージ上の椅子に座っていて、途中につのださんや伊藤さんが、カークービーさんにまつわる思い出話をしたり、カークビーさんも座って歌ったり、立って歌ったり、器楽の調べに耳を傾けたりと、本当にアットホームな親しい雰囲気の中でコンサートが進みました。味わいのある静かな音楽を、リラックスしてじっくりと聴くことができた、なんとも素敵で贅沢な、クリスマス音楽のひと時でした。
導入の2つの歌のあと、やや憂いを帯びたリュートソロの2曲が美しく、そしてその次に歌われたキャンピオンの歌曲「Author of Light」とダウランドの歌曲「In this trembling shadow cast」(リュート伴奏)が、個人的にはもう最高でした。なんとなく聴きおぼえがある曲だったので、後日手持ちのCDでこの曲を探したところ、ソプラノとリュートの編成の演奏は持ってなくて、他の編成のだけしか持っていませんでした。ダウランドをはじめ、この時代のイギリス音楽は本当に僕の心に沁みる曲が多いです。この曲をこのような親密な雰囲気の中でカークビーさんの歌できけて、なんとも幸せなことでした。
プログラムの前半は主にイギリスの音楽で、休憩をはさんだ後半は、よりリラックスした感じになり世界のクリスマスキャロルが歌われ、そしてアンコールは民謡2曲を歌っていただきました。いやーこれは満喫しました。これで僕のコンサート通い、今年はおしまいです。
カークビーさん、お元気で是非また日本にいらしてください。今度はお正月に来日いかがでしょうか。新春コンサートの傍ら、初詣などもお楽しみいただき、そこでやっていただくのはもちろん、
絵馬・書くびー。
このプログラム表紙の絵を拡大したのが下です。右下にリュート、左下にバロックハープがあるので、この絵が使われたということです。そうするとカークビーさんがマリアですね。