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じゃくの音楽日記帳

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2016.01.04
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カテゴリ:演奏会(2015年)

2015 年に聴いたコンサートのまとめ、最後は声楽編です。

○古楽
  6/22 モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り  コントラポント       東京カテドラル
  9/23 モンテヴェルディ:聖母マリアの夕べの祈り 有村祐輔, マメリ他   石橋メモリアルホール
  9/26 バッハ:農民カンタータ  BCJ, エルトマン他                           東京オペラシティ
 12/13 パーセル:「妖精の女王」 寺神戸亮, カークビー他                北とぴあ
 12/16「カークビーのクリスマス」カークビー, つのだたかし, 伊藤美恵 白寿ホール

○オペラ
  3/ 9 プッチーニ:「マノン・レスコー」                        新国立劇場
  5/28 サーリアホ:「遥かなる愛」(演奏会形式、日本初演)           東京オペラシティ
 10/14 ワーグナー:「ラインの黄金」  飯守泰次郎指揮              新国立劇場

○その他
  2/16 藤村実穂子 サントリー音楽賞受賞記念コンサート          サントリーホール
 11/19 ラヤトン(アカペラ)                      王子ホール
 11/30 ダーヴィッシュ(アイルランドの民族音楽)            武蔵野市民文化会館小ホール

[古楽・覚え書き]
2015年はモンテヴェルディの大作「聖母マリアの夕べの祈り」を2回も聴けました。6月は、花井哲郎さんが率いる古楽アンサンブル、コントラポントの結成10周年記念の演奏会ということでした。この曲を生で聴くのは初体験でした。東京カテドラル聖マリア大聖堂の長い響きを生かした、雰囲気の良いコンサートでした。テノールの櫻田亮さんが光っていました。そして9月は、有村祐輔さん指揮のもとに結集した合唱団と器楽アンサンブル、これに波多野睦美さん、松井亜紀さん、櫻田亮さんなどの強力歌手陣に、さらに超強力助っ人としてソプラノのロベルタ・マメリさん!が参加した公演でした。歌手陣はもちろんのこと、全体に演奏水準が非常に高く、合唱も50人を超える大合唱団で力強く、この大曲をいささかも緩むところがなく、最後まで一気に聴かせていただきました。プログラムの解説も詳細で、非常に丁寧な歌詞対訳があり、あとあとの鑑賞にもとても重宝しそうです。

バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏会からは諸般の事情でしばらく遠ざかっていましたが、久しぶりに足を運んだのが世俗カンタータシリーズ第6弾、農民カンタータをメインプロとする演奏会でした。ソプラノのモイツァ・エルトマンさんが出演するというのに期待していました。エルトマンさんは、2011年にハーディング&マーラー室内管のマーラー4番を聴いたときの歌唱が素晴らしかったです。このコンサートは2011年のマイ・ベスト・コンサートの10位にあげたものです。
さて今回のバッハの農民カンタータは、舞台上に野菜などを並べ小道具としてうまく使い、また舞台横から主役のアベックを覗き見する怪しい人たちを配するなど、ユニークで気の利いた演出が、良かったです。やはりBCJはうまいし、エルトマンさんの歌唱はさすがに素晴らしく、相手役のバスとのかけあいの演技もチャーミングで、見聞きしていてとても楽しく、農民カンタータを満喫できました。

そして12月にはカークビ—さんの参加された夢のようなパーセルと、クリスマスコンサート。これについては最近記事にしたとおりです。

[オペラ・覚え書き]
オペラでの今年の最大の収穫は、現代フィンランドの女性作曲家サーリアホの「遥かなる愛」(演奏会形式・日本初演)を見れたことでした。東京オペラシティで毎年行われている現代音楽企画の「コンポージアム」の一環として行われたものです。事前の紹介で、会場にはスピーカーも多数配置されるということで、どんな感じに使われるのかと思っていたら、非常に微妙でデリケートな使い方で、うっかりすると使っているのが判らない程度の電子音響を効果的に付加していて、素敵でした。使っている時間もおそらく、たまに、ほんの僅かだったと思います。海外の現代オペラを、もっと日本で上演する機会が増えたらと思います。新国立劇場が率先してとりあげてほしいです。

その新国立劇場の2015年の演目で、個人的にもっとも期待していたのは、飯守泰次郎指揮のワーグナー「ラインの黄金」でした。2014年の飯守指揮の「パルシファル」がゆったりしたテンポの超絶的な名演だったからです。しかし今回は音楽が今一つ冴えないままに終わってしまいました。ヴォータン役はラジライネンさんで、もうちょっとパワーがほしかったです。飯守氏の今後のワーグナーシリーズには引き続き期待しています。

[その他・覚え書き]
藤村実穂子さんは、2009年の紀尾井ホールでのリサイタルを皮切りに、リサイタルやマーラーのコンサート、オペラなどで随時聴いてきました。名手ウォルフラム・リーガーさんのピアノとの絶妙なドイツ・リートや、圧倒的な貫禄あるオペラやマーラーでの歌いっぷり、つくづくすごい方です。サントリー音楽賞受賞記念コンサートは、ワーグナーを中心に行われました。プログラムには、自分を厳しく律して、苦労と闘い精進してきた藤村さんの言葉が書かれていて、大変興味深いです。一ヵ所だけ引用すると
“10代の頃レコードを集めては聞いていた巨匠達が、今では私の名前で指名してくれる。”
これからも長いご活躍を願っています。

2015年に聴いたアカペラは一つだけでした。フィンランドの6人組アカペラ・グループ「ラヤトン」です。このグループは、2013年の来日公演で初めて知りました。声を同質にしてあわせる方向ではなくて、異質な声を異質なままあわせて独自のハーモニーを作るところが、個性的な魅力を放っていて素敵でした。2013年のマイ・ベスト・コンサートの10位に選びました。その後楽しみにしていたラヤトンの再来日のコンサート、今回は北欧の古い伝承歌からビートルズまでの多彩なプログラムでした。最後はシベリウス・イヤーにふさわしく「フィンランディア賛歌」で、ばしっと締めていただきました。






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Last updated  2016.01.05 11:16:45
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