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じゃくの音楽日記帳

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2017.07.02
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またまたマーラーを聴きに、京都コンサートホールにやって来ました。3月の広上&京響の神懸かり的な8番の感動が蘇って来ます。今回は、アマオケによる3番です。
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デア・フェルネ・クラング 第4回演奏会

エルンスト・フォン・ドホナーニ チェロと管弦楽のためのコンチェルトシュテュック
マーラー 交響曲第3番

指揮:角田鋼亮
チェロ:佐古健一
アルト:池田香織
女声合唱:TSC特別合唱団
児童合唱:京都市少年合唱団
管弦楽:デア・フェルネ・クラング

6月11日 京都コンサートホール
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まずこの演奏会のチケットが素敵です。大きな赤い字で、「さあ、夏がやってくる」と書いてあるのです!マーラー3番のチケットとしてこれ以上のものはないかと思います。ただ、もぎりの切り取り線がどこにもありませんでした。当日、会場時刻少し前に入り口で並んでいると、係の方が、「チケットは入場時に回収します」と呼びかけるではありませんか。これを手放すのは残念です、せめて写真にとっておこうと思って、通路の手すりにチケットをそっと載せて、苦しい体勢で急遽撮った写真がこちらです。

M3ticket 40PP.jpg

入場して、このチケットとはさよならしましたが、代わりにいただいたプログラムの表紙が、またとんでもなく素敵です。それがこちらです。

M3Program 40cut.jpg

若いころのマーラーの写真をバックに、この言葉。もう素晴らしすぎです。

ホール内に入ると、まず目に付いたのが、P席後方、オルガンの左横に鎮座していたチューブラーベルです。この充分に高い配置、これは期待できます!あと、さらにホール内を見渡すと、ホール左前のコーナーの、非常に高いところにあるボックススペースに、譜面台が1台置いてありました。これはおそらく、ポストホルンをここで吹くのでしょう。舞台裏でなくて残念です。

さて今日のプログラムは意欲的なもので、前半にドホナーニのチェロ協奏曲という、かなりマニアックな曲が演奏されました。作曲者は、指揮者のクリストフ・フォン・ドホナーニのお父さんですね。初めて聴く曲でした。チェロのソリストがかなりの美音で繊細で、聞き応えがありました。

休憩の後、マーラー3番です。
弦楽は通常配置で、下手にハープ2台でした。オケが入場してきました。先ほどのドホナーニの曲のソリストの方が、チェロのトップに座りました。そして始まった第一楽章、ホルン主題提示時のギアダウンはありませんでした。ひき続く練習番号1の静かな部分、緊張感がみなぎっていて、非常に良いです。第32小節でヴィオラがトレモロでffで入ってくるところ、すごい気合いで、しびれました。その後も気合の入った演奏が続きます。

トロンボーンのモノローグは、トロンボーンも良かったのですが、そのときに小さく合いの手を入れる低弦が、緊張感があって重く、静かな音の中に気合が詰まっていて、素晴らしかったです。この合いの手を、これほどしっかりと意識させられることはそれほど多くなく、とても好感を持ちました。

夏の行進が小さく始まって、弦の半分が演奏するところ(練習番号21~25と、63~65)は、弦の各セクションの後方のプルトが弾いていました。この後方プルト方式に僕が接するのは3回目です。最初は、2011年の大野&京響で、次が2015年のノット&東響でした。3回目となる今回は、遠くから夏がしだいに近づいて来る、という感じがほどよく出ていて、後方プルト方式もなかなかいいな、という感じを初めて持ちました。僕が3回目で慣れたせいもあるでしょうし、今回の演奏自体も良かったのだろうと思います。

その後の第一楽章も、夏の訪れの喜び、幸福感がしっかりと感じられ、素晴らしかったです。これを聴いていて、この第1楽章が終わったら拍手したいなぁ、という気持ちにもなりました。(アルマの回想によると、3番の初演の際に、第一楽章の終わったときにものすごい歓呼がわき起こったそうですので、いい演奏のときには、気持ちとしてなんとなく拍手したくなるのです。)そうしたら、第1楽章が終わったとき本当に、自然発生的に拍手がパラパラと湧きおこりました。すぐに静まる短いものではありましたが、僕もうれしくて、エアー拍手で参加しました(^_^)。

第1楽章が終わって、合唱団が入場して来ました。その配置が素晴らしく、Pブロックの前寄り2~3列が女声合唱73人で、その後ろ2~3列が児童合唱55人でした。すなわち、2010年の尾高&札響がやっていたように、大人の合唱よりも高いところに児童合唱が位置したわけです。そして児童合唱のすぐ後ろにチューブラーベルという、理想的な配置です。一方で、独唱者がいつ入場したかは、僕の席からは見えなくて、わかりませんでした。

第2楽章の演奏は、オケがちょっと消化不良気味でした。

第3楽章は、思ったとおりポストホルンがホール内の左コーナーのボックススペースで吹かれました。見た感じでは、普通の小さいポストホルンを使っていました。これはやはり舞台裏で吹いて欲しかったです。

第3楽章が終わって一息つくと、舞台下手中程、ハープのそばで、独唱者がやおら立ち上がりました。いつの間にかこちらにひっそりと入場していたようです。これは今年1月の坂入&東京ユヴェントスフィルのときにもやっていた方式です。このようにあらかじめホール内に入って座っていることで、拍手が起こることをかなり完璧に防げるので、とても良い方法だと思います。

第4、5、6楽章のアタッカあに関しては、しっかりとしたAAスタイルでした。(○○スタイルについては関西グスタフマーラー響の3番(その3)の記事をご覧ください。)詳しく言うと、合唱と児童合唱は、第4楽章の最後あたり、まだ演奏中に、指揮者の合図で静かに立ち上がりました。それで第4楽章が終わってそのままアタッカで第5楽章が始まりました。そして第5楽章が終わった時は、合唱団は立って静止したままで、束の間の静寂のあと第6楽章が始まり、少したってから合唱団が静かに着席するという、オーソドックスな方法でした。

第6楽章は、遅めのテンポで、とても充実していました。最後の方の金管コラールから曲の終わりまで、テンポを速めずに、ゆったりたっぷりと歌って、感動に浸りました。

今回の3番は、中間楽章の完成度は今一つでしたが、なんといっても第1楽章と第6楽章が、幸福感があり、本当に充実した素晴らしい演奏でした。指揮者の角田さんは2010年の第3回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクールのファイナリストだそうで、正攻法の、マーラーの意図に沿った、良いマーラーでした。唯一注文を付けたいのは場内ポストホルンだけで、あとはスコア通りに、やるべきことをしっかりやっていただき、感動的な音楽が聴けました。

オケも良かったです。団員の多くが若い人でした。プログラムによるとこのオケは、2011~2012年の名古屋マーラーフェスティバルを機に創立され、2年に一度集まって、これまで名古屋で3回の演奏会を行い、巨人、シベリウス7番、マーラー9番、ショスタコーヴィチ10番などを演奏したそうです。今度の第4回が名古屋以外での初演奏会ということです。マーラー好きが全国から集まっているオケって、いいですね。今回さらに、ドホナーニのソロを弾いた佐古健一さんがチェロのトップを弾き、チェロセクションだけでなく、オケ全体を牽引する大活躍をされたことも大きかったと思います。低弦の音がしっかりとして、重心の低目の安定した音が鳴っていたように感じました。

今回もまた、アマオケの良さが出た温かい3番が聴けて、大きな感動をいただきました。今回、演奏のみならず、企画がすごく良かったと思います。チケットやプログラムのデザインに「さあ、夏がやってくる」という言葉を載せるというセンスが素晴らしすぎますし、そしてまさにもうすぐ夏がやって来るというこの季節に3番を演奏する、というタイミングも、おそらく計算してのことだと思います。このオケ、宣伝をあまりしてないですが、ネットでより情報を発信しつつ、今後もマーラーを演奏していっていただきたいと思います。東京のマーラー祝祭管、関西のグスタフ・マーラー響、そして名古屋(全国)のデア・フェルネ・クラング、それぞれのマーラー特化オケが、引き続きそれぞれのマーラーを奏でていくことでしょう。

演奏が終わってホールを後にするとき、曇っていた空が晴れて、青空がきれいでした。

「さあ、夏がやってくる。」 

京都コンサートホール 50.jpg

 

○おまけ:京都でのマーラー3番の、ポストホルンの位置

まず今回の3番で、ポストホルンを吹いた位置を示しましょう。この写真は、京都コンサートホールのホームページからコピペさせていただいたものです。この写真で黄色の☆印で示したボックススペースで、今回ポストホルンが吹かれました。

京都コンサートホールHPより☆.jpg

京都コンサートホールにいくつかあるこのようなボックススペースは、このホール独特の個性的な特徴ですね。バンダなどにいかにもおあつらえ向きに作ってあるので、ついつい使ってしまいたくなるのでしょうか。

僕がこのホールで最初に聴いたマーラー3番は、2007年11月のマーカル&チェコフィルで、そのときもやはりホール内、この同じ黄色の☆印のボックスで吹いていたと思います。もはや記憶があいまいで、もしかしたら青の☆印のボックスだったかもしれませんけど。(なお、マーカル&チェコフィルがそのすぐ後にサントリーで演奏した時には、普通に舞台裏で吹きました。)次に聴いたのは2011年の大野&京響で、これはボックススペースの誘惑(^_^)に負けず、しっかり舞台裏で吹かせていました。あと京都では会場がロームシアターですがもう1回聴きました。2016年の関西グスタフマーラー響(アマオケ)で、ホール内の客席の高いところで吹いていました。

すなわち僕が京都で3番を4回聴いたうち、3回がホール内で吹かれたということになります。京都でも是非、普通に舞台裏の風習が根付いて欲しいと思います(^^)。

 






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Last updated  2017.07.04 10:07:13
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