サイクリングサイクリングやっほー♪やっほー♪
彼は自転車を漕ぐ、漕ぎまくる。東京まで、愛を確かめるために。遠距離恋愛ももう停滞期、というかいつ別れを切り出されてもおかしくない状況、ここで起死回生のホームランが欲しい彼は考えた。彼女に会いに行こう、チャリンコで。しかも連絡せずに突然行って驚かせてやろう。私のために自転車で仙台から東京まで来てくれたのね、ステキ!そんな光景が頭に浮かんだ。これだ!彼の頭の中ではナイス過ぎたサプライズ企画、持ち前のフットワークの軽さでいざ東京へ出発!待ってろマイハニー!国道4号線を南に自転車を漕ぎ続けると東京に着く、理論上は。が、車でさえ大変なのに自転車でっておいおい俺、と、自分の無謀さに白石付近で気付いた。とふと彼女の喜ぶ光景が頭に浮かぶ。「私のために、すてきよー、マイダーリン!」よっしゃあー、愛があれば自転車で東京なんて朝メシ前!馬車馬のように漕いだ。本人いわく、白石の山を越えると後は勢いで行けたそうだ。着いた。東京に。20時間かかった。さすがに体力の消耗は半端じゃない。睡眠も2,3時間しかとってなくクタクタだ。でも大丈夫、そこに愛があるからさ。「ハーイマイハニー、仙台から東京まで自転車を20時間漕いで君に逢いに来たよー。ちょっと逢わないかーい?」「はあ!?」おそらく100人中100人が言うであろうドン引きな相づち。あまりにも重い愛情表現にあきれた、というかちょっぴり恐怖を感じた彼女はその場で別れを告げたそうだ。彼は打ちのめされた、つーか実行前に気付けよ、それって一歩間違えればサスペンスだぞ○川君!しかし絶望に浸っている暇はなかった。あさってには仕事が待っている(ゴールデンウィーク中だった模様)クタクタになった体&打ちのめされたハート、もう限界だった。普通ならサウナにでも入って一眠りし、翌日新幹線で帰ろう、と思うものだが彼は違った。愛車「ハートブレイク号」の進路を北に向け、またおもむろに漕ぎ出した。なぜかって?あさってには仕事が待っているからさ!帰りは仙台まで30時間掛かったそうだ・・・彼の精神力と体力に敬意を称する。帰りはどんな気持ちで漕いでたの?と聞いたら「いや~、福島は広いな~、いくら漕いでも福島なんすもん」となんともアスリートなお言葉。そんなハートブレイカー○川君、ただいま彼女募集中。ご希望の方は当店までご連絡を。