冴えすぎる男
実力があり努力もしているのにくすぶっている人間が夢を手にするサクセスストーリー、これほど痛快なものはない。映画ではよくあることだが、現実の世界ではめったにお目にかかれない話しである。が、たまにある。場所はイギリスの歌のオーデション番組、主役は携帯電話会社のサラリーマン。まったくの素人である。ステージに立つ小太りのその男はオドオドと落ち着かず審査員を見ている。自信のなさそうな中年男。冴えない、冴えなすぎる・・・その男の前に座る退屈そうな審査員・・・ところが彼が歌いだしたとたん、会場の空気は一変する。天まで突き抜けるような張りのある美しく重厚感のある歌声。五感ばかりか魂も酔わせる理屈ぬきのその歌声に観客はスタンディングオベレーション!辛口の審査員は絶句し中には感動で涙しているものまでいる。僕も聴いてみて鳥肌が立った。言葉はわからないが言葉の壁なんか超越したすばらしい感動があった、そこには。彼の名はポール・ポッツ。今、世界を感動させている冴えすぎる新人オペラ歌手である。http://www.bmgjapan.com/paulpotts/