小林さんが亡くなり思うこと
プロ野球界を震撼させた江川卓の「空白の一日」事件、さすがに28年も前のことで時間と共に風化してしまった感があるがその時は社会現象にまでなった大事件だった。当時、小学校低学年だった自分でも記憶に残っている。阪神にドラフト1位で指名されたのに「空白の一日」を利用してすったもんだが合ったすえに巨人に入団。しかしどう考えても理不尽な巨人と江川の行動に、社会が反発。江川はマスコミに叩かれ一躍野球会の悪役になってしまった。このときに悲劇のヒーローとなったのが江川の犠牲になり巨人から阪神に移籍した小林繁である。この事件のこともあり、江川卓と小林繁はそれから28年間一切コンタクトを取らずに現在に至った。時間が経っても解決する問題ではなかったようだ。が、そんな顔を合わせても会話を交わすことのなかった因縁の二人がひょんなことからお酒のCMで共演。業界の方達の粋なはからいでCMに共演してもらい一緒に酒を飲んでもらおう。そして和解へ、という流れになればという思いを込めて。打ち合わせ、脚本などはまったくなし。酒を飲み、杯を差しつ差されつ交わした言葉をドキュメンタリー形式で撮影しただけのCMである。そのCMが実にいい塩梅。お互い気を使いながらも飲んでいるうちに打ち解けていく二人の心が映像を通して伝わってくる。28年という長い時を越え交わされる言葉の一つ一つがとても重厚感がある。かたわらには一本の日本酒、とてもすばらしい演出をアシストしてくれている。酒はときに魔法のような不思議な力を発揮することがある。まさに万能の賜物である。しみじみと心に染み入る酒、うまいだろうな~。一生忘れられない酒になるだろう。一生忘れられない酒、自分はあと何回出会えるだろう。多ければ多いほど人生は身のあるものになるだろう。ソウイウモノニ ワタシハナリタイこれ、数年前に書いたブログです。先日小林さんが亡くなられた時、江川さんが追悼のインタビューで「CMに一緒に出演した時、『お互い大変だったな』という言葉を掛けてもらい、すごくほっとした」と涙目で語っていました。あの日あの時再会していなかったら江川さんにとって小林さんが亡くなったということは一連の「空白の一日事件」と共に一生重責として背負っていかなければいけないものになっていたかもしれません。あの日あの時再会していて良かった。決して人が亡くなった時だけでなく日ごろの人間社会の中でそう思うことがたくさんあります。ということでみなさん、再会を祝してバンバンお酒を飲みましょう。人と人のきずなができるし景気も上がるしああ素晴らしきかな人生。小林さんの映画のようにドラマチックな生き様に敬意を称します。合掌。http://www.youtube.com/watch?v=xRN080ew1Ms&feature=related