おねえ店長
十数年前に住んでいた家の近くにあったコンビニの店長はおねえ系だった。「いっらっしゃいませ~」という言葉の端々におねえ独特の甘じょっぱいアクセントを店内にひびかせ、小指を立てレジキーを打ち、男性には甘える子猫のような上目使いをし、お客さんを惑わしていた。(ちなみに風貌はスキー・ラージヒルの選手のような体育会系でした)しかし、おねえ系振る舞い以外はなにも問題がなく、慣れると心地良さまで感じるほどでよく寄っていた。男なのに女性的、この中性的なニュアンスは接客されるほうにとってはとても気が楽だ。レジにとてもきれいな女性がいたらそれだけでド緊張するだろうし、無愛想なあんちゃんなど(深夜に多い)がいたらなんかイラッとしてしまう。その点おねえ系は不思議な安堵感がある。この前初めて行ったラーメン屋さんの店長、おねえ系なのである。(四十後半、国村準似)「いらっしゃいませ~」店長の甘じょっぱい声。お昼の込み合う時間を避けて行ったのだがひっきりなしにお客さんはやってくる。かなりの繁盛店だ。忙しい店内。しかしおねえ店長はイラッとすることもなくおねえスマイルでお客さんをやさしくあしらう。「少々お待ちください~」「ご注文何になさいますか~」「ありがとうございま~す」基本接客用語はおねえ弁、心を安らかにする。なんなんだろ~、この安堵感。ラーメンのうまさだけがこの店の繁盛の理由ではないなと悟り、店を出た。今時代はおねえ系だ。おねえ店長だ、こども店長はもう古い。おねえは世界を救う、景気を救う。ということで今日からおねえキャラ店長で行きます。よろしくお願いします。と思いましたが0.01秒でやめますた。動機が不純過ぎる。ほんまもんのおねえに怒られそうだし。女性大好きだし。えーこんなことを考えている今日この頃です。