マグマ大使(パイロット版)
マグマ大使、それは1965年当時、人気少年月刊誌である「少年画報」に連載されていた巨匠:手塚治虫の漫画作品である。このマグマ大使を映像化するに当たって数々の困難と人間ドラマがあった。まず、前番組と考えられる手塚治虫:原作の「W3」が裏番組の「ウルトラQ」に視聴率を奪われた事からフジテレビがこれに対抗し特撮番組制作を企画した事に始まりフジテレビはこれを広告代理店である東急エージェンシーに依頼。 これに先駆けてアニメ制作会社・ピープロは「クラブ君の冒険」というテレビ特撮番組の白黒パイロットフィルムを制作していた。ピープロ社長のうしおそうじ(鷺巣富雄)によるとこの作品を虫プロで試写した際に同席していた東急エージェンシーのプロデューサーの目に留まる事となりこれを買い付けてスポンサーにロッテを繋ぎ、局に打診した所、ロッテ側から「もっと知名度のあるものを」との声が上がった。これを受けてうしおそうじが当時、手塚治虫が雑誌連載中だった「マグマ大使」を思いつき箱根で忘年会中だった旧友・手塚の元へ直接談判に向かった。原作者の手塚治虫は、うしおそうじから実写特撮ドラマ化の話を持ちかけられた時、1959年の実写版「鉄腕アトム」が1年間に及ぶ人気作となったものの原作のイメージと余りにもかけ離れていた為、自分の漫画を実写にする事に対し不信感を抱き難色を示していた。だが手塚治虫は実写化に当たって「マグマ大使」と「ビッグX」の二者を候補に挙げうしおは怪獣を登場させやすいヒーローとして「マグマ大使」を選んだ。こうした経緯もあり、手塚が「マグマ大使」の実写化を許諾した事は業界の内外でも大きな驚きを以って受け止められたという。こうして制作まで漕ぎ付けた「マグマ大使」をフジテレビに見せるべく作り上げたのがパイロット版「マグマ大使」である。これを視聴したフジテレビは俳優、声優、特撮技術、アニメ技法に関してかなりの絶賛であったが唯一、難色を示したのがマグマ大使の顔、即ち人間の顔に銀粉を縫って無表情でしゃべるその様がNGとなった。ピープロは顔を仮面にする事によってヒーロー感をより一層強くしてフジテレビ側から特撮ヒーロー番組企画に腰の声が強くなった。こうして制作が決定し番組開始前のプランニングには映画畑の人材が集められたがその中に田原総一朗の姿もあった。また放映開始までの製作期間に余裕がない為に第1話は脚本を製作する暇がなく原作漫画をほぼそのまま使用した。 番組予算は1話につき500万円でありやはり手間暇のかかる特撮ドラマだけにストーリーを4話完結方式を取る事にした。これが「マグマ大使」誕生秘話である。 にほんブログ村 にほんブログ村 にほんブログ村[DVD] マグマ大使 DVD-BOX(初回限定生産)