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2018.08.06
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テーマ:北アルプス(17)
カテゴリ:山歩き。

早い人は4時前後には動き始めているが、僕らは周囲の音で起き、朝食を食べて6時頃に出立した。

このテント場にいる人が全員剱岳に向かうわけではないので、僕らのスタート時間が遅いかどうかは別としても頂上へのルートに人影はなかった(もっとも、朝はガスが立ち込めており、見通しがそれほどでもなかった)。

雪渓をいくつか横断し、剣山荘を通過。ここから登りに入っていくのだが、周囲が晴れない、気持ちも晴れない中でうれしい“出会い”があった。雷鳥の親子だ。ママ雷鳥と6羽の子雷鳥が登山道でチョコチョコ動き回っていた。

人を警戒する様子もなく、写真を撮ってはその動きを見ていたが、なかなかその場から移動しそうにないので、そろり、そろりと近づいていくとようやく山手の方へと移動していった。

雷鳥は見ようと思ってもなかなか出会わないが、朝のガスった状態の時にふとその姿を見せてくれると気持ちもなんだか晴れてくる(この後もう1回別の場所で雷鳥と遭遇した。2回も出会えるなんてラッキーだった)。

雷鳥親子に別れを告げて先に進むと鎖場が出てきた。番号が振ってあるが、何番まであるんだと思いながらやり過ごす。

 



出発して約1時間が経ち、一服剱を過ぎたころからガスった空も次第に晴れていった。目の前には前剱、そして剱岳本体が青い空のもと立ちはだかっていた。

前剱を過ぎると鎖場越えもより注意を払わないといけなくなってくる。「9番目鎖場」が出てきた。「カニのたてばい」とある。

これが名高い「カニのたてばい」か。幸い周りには他の登山者がいないので僕らだけで登っていける。「たてばい」というから、タテに登っていく。岩場はどこでも注意力は必要でスリリングなところもあればそれほどでもないところもある。この「たてばい」も相当な難所かというイメージがあった。たしかに垂直に登っていくので足を踏み外せば痛いどころではないが、足場がなくて困るほどではないので、慎重に登ればクリアできる場所だ。



出発から約3時間。好天の下、ついに剱岳頂上に到着した。雲は多いものの360度のパノラマが広がっていた。

昨日登った富士ノ折立と同じ高さの2999mだが、とても同じ高さとは思えない。頂上に至る過程が大変だったので一層そう感じさせるのだろう。

ふと、平安時代頃に修験者が登頂したらしいことを思い出したが、この時代には鎖もなく装備も簡素なものなのによくこの岩稜帯を登頂できたなあと改めて感心させられた。

いつも頂上滞在時間は短いが、今回は頂上からの景色をゆっくり堪能し下山を開始した。

 
混雑緩和のためか途中まで下山ルート(鎖場)が設定されている。その最初に10番鎖場「カニのよこばい」がある。いったん下に降り、横に移動するのだが、この横に移動する際の足場がわかりづらく、赤いペンキで足場と思われるところをマーキングしてあるのだが、最初はそれがわからなかったためその一歩が迷ってしまった(若干ビビった)。足場がわかれば後は鎖を頼りに横移動だけだと思いきや、最後に垂直鉄梯子を下る。

実際、「たてばい」よりも「よこばい」の方が緊張感の高まるスリリングな岩場だった。

そのあとは、前剱を巻くルートを進み、一服剱へと戻っていく。結局鎖場は13番まで確認したが、実際は登りと同じ鎖場を通過するところもあるため145はあるのかな。

出発してから約5時間40分、剣沢小屋に戻った。

この日は雷鳥沢へ行こうかとも思ったが、これからテントを撤収して重い荷物を背負っていくのは疲れが倍増しそうなので、このままもう1泊することにした。

小屋前で休んでいると見たことのある人がやってきた。雑誌でよく記事を見かける高橋庄太郎さんだった。雑誌の写真と同じようなスタイルでカメラマンを同行していたので、どこかでこの日の記事が出るのだろう。momoが話かけて行ったが、嫌がる様子もなく丁寧に話をしてくださった。

ありがとうございます。

 

剱岳を岩と雪の殿堂、とよく言われるが、今回登ってみて雪はなかったので、岩と石の殿堂だった。岩場、ザレ場が多いので緊張感をもって進まないと足を滑らしたら大怪我では済まない場所と言える。でもそこをクリアしたときの達成感、充実感は言葉で言い表せないほどのものがある。

 

明日は大日岳方面へ移動する。

 


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Last updated  2018.08.10 17:49:35
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