銭金的生活 Vol.7 父カツアキ
キャスターマイルドと焼酎「島の泉」をこよなく愛す父ちゃんは無口で、人付き合いが苦手だ。だから自分のペースでできる農業が性に合っている。毎晩、晩酌をし、うれしいことがあれば飲んだくれ、ムカつくことがあれば飲んだくれ、そしてグダをまきかあちゃんを困らせた。時に暴力をふるった。そんな父ちゃんでも、仕事の合間をみて父親参観に来てくれた。小学生の頃、父親参観といえば、竹とんぼや竹馬作り。子供部屋まで作ってしまう父ちゃんは、竹とんぼなんてお茶の子さいさい。父ちゃんの竹とんぼはよく飛んだ。普段、目立たない私もこのときは自慢げだ。いつも焼酎を飲んで、グダをまいている父ちゃんがキライだったがこの時は、ちょっと見直した。小学校の卒業式の最後に、校門を出るまで下級生がアーチを組んでいる中を親子で歩くという習慣があった。この時、かあちゃんが来れず、父ちゃんがやって来た。私は、ひとりでアーチをくぐった。真っ黒に日焼けし、ボサボサ頭で、普段着慣れないシャツに、よれよれのスラックス。「かっこわるー」と思った・・・・だからだ。父ちゃんは、ウロウロ私を探しまわった。そしてあきらめてチャリンコで帰って行った。この時のことを思うと、今でも胸がキュンとなる。父ちゃん、ごめんよ。大人になり私もビールを飲むようになり、毎晩晩酌はかかせない。血はあらそえない・・・。還暦を過ぎた今でも飲んだくれて、かあちゃんを困らせているけどあんまり、飲みすぎんなよ!