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思いがけずぐっすり眠り込んでいた。壁の時計を見ると、もう、3時。
・・・いくらなんでも寝すぎでしょっ。 自分で自分にツッコんじゃう。いつものクセで、枕元にケータイを探そうとして、 ・・・ないんだっけ。 そのことに気づく。何もかもを思い出す。 ・・・碓氷くんは、今日も2公演のはず。マチネがとっくに始まってる時間。 私は、伸びをして、シャワーに向かった。 ・・・ちゃんと話そう。ウスイくんと。・・・でもどうすれば。。。 シャワーに打たれながら考える。ケータイはないし。。でも、家に勝手に入って待ってるのも、、あれだし。だからって、家の前で待ってるのもあれだし。・・・夜の公演が終わる頃、、楽屋に行ってみるしかないのかなぁ。・・・ゴウインかな。メイワクかな。そんなこと思いかけて思考が立ち止まる。もしも楽屋に、昨日碓氷くんの腕の中にいた、、 ・・・あのキレイなオンナの人がいたらどうしよう。 すごくキレイなヒトだった。碓氷くんが本気なら、、絶対叶うわけのないヒト。・・・碓氷くんの心が見えないまま、対峙する勇気は持てないな。・・・だけど。 ・・・そうだ。ケータイを取りに来たっていえばいいんじゃない? もしも、、、もう、ダメでも。一応の、言い訳はつく。。。はぁ。。こんな弱気でいいのかなぁ。だけど。。今は。。。 悩んだ憂い顔のまま、廊下に出ると、水野君が、帰ってきた。 「お、蒼夜。今頃シャワーか?」 朝の気まずさなんて何もなかったみたいに話しかけてくる。これが親子だし、家族、なんだよね。碓氷くんにも、何気に話しかけられたらな。。。 「お帰り、水野クン、もう仕事終わり?早いね」 私も、屈託なく話しかける。 「まさか。また夕方には出なきゃ。夜はパーティがある。午前の仕事が早く終わったから、ちょっと、テツヤの楽屋覗いて帰ってきたんだ」 ドキっとする。テツヤってもちろん、碓氷くんのこと。水野君は、碓氷くんの事務所の社長だし、何より、・・・親友だし。 ・・・何か、私のこと話したのかな。それとも、あの女の人のこと、何か。。。 何も言い返せず、ドキドキしながら、話の続きを待ってると、水野君は、ポケットを探って、 「これ、預かってきた」 と、差し出したのは、私のケータイ。心が一瞬で固まっちゃう。 ・・・水野くん経由で、、返されちゃうんだ。。。もう、会う理由すら、言い訳すら、なくなっちゃった。 それでも、私は、なんとかケータイを受け取り、碓氷くんからメールがないかチェックしてみる。・・・ない。あるわけ、ない、か。そして、最後の願いをこめて、水野くんに、恐る恐る聞く。 「・・・・何か、、言ってた?」 「ああ。・・・蒼夜は大樹と付き合うことになったとか言ってたな。ったく、アイツは、、」 『大樹と付き合うことになった』 そんな言葉とともに、ケータイを他人経由で返されたら、さすがの私だって、、、もう図々しくはなれない・・・。それが、碓氷くんの答えなんだよね。 「ちょ、蒼夜?」 水野くんが、まだ何か言いたそうに、背中に叫んできたけれど、私は、これ以上、つらいこと言われたくなくて、階段を駆け上がっていた。 部屋に飛び込んでベッドに横になる。 正直なこと言えばね、私、きっと、大丈夫だって、きっと、碓氷くんと元に戻れるって、たかくくってたトコあったと思う。 心のどっかで。大切に、されてきた、記憶が、キラキラしてたから。だから、きっとそこには誤解があるだろうって。 でも、ここまで、はっきり、思い知らされたら、もう、あきらめなきゃ、なんないよね。 涙は出ない。 ただ、ぼんやりと、ケータイを眺めていた。 ・・・昨夜、碓氷くんのそばにいた、私のケータイ。 * 一度ネガティブに走り出すと、心って止まれない。 『大樹に抱かせてまで、遊び飽きた私を捨てようとしていた碓氷くん』 いつしかそんな思いに心を支配されていた。 ・・・苦しい。 短かったけれど、隣で笑って、無邪気にすごした日々。アレってなんだったんだろうって想う。私にとっては、碓氷くんを失う今になってもかけがえのない日々。でもその全てが。 ・・・碓氷くんにとっては、ただの遊びの1つだったなんて・・・。 今日のゆる日記は、こちらです。バカップルにご注意ください 「box」目次1~、101~、201~(10/19更新) ふぉろみー? lovesick+も、がんばって更新中。10/18 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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