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「・・・・結婚?」
幸せなデートの最後にたどり着いた、ホテルの1室。広々とした2人だけの空間。背中の大きな窓の外には、海、な夜景を感じながら、私は、ぼんやりとケースケを見上げた。 「ああ」 アマい微笑をたたえて、でも、どこか緊張しているその表情で、うなずきながら、ケースケは、私の指先を握る手に少しだけ力を込めて持ち上げた。視界に入る、大好きなケースケの手につながれた自分の手、その薬指には、いつのまに嵌められたのか、大きなダイヤのリングが光っていた。 『結婚しよう』 今までにも、何度か、ケースケから、聞かされたその言葉。ケースケが、いつも、本気なことはわかっていた。だけど。 だけど、ヒロトをふっきりきれない自分が申し訳なくて、 『保留っ』 ってだけ、叫んできたっけ。 ヒロトのこと、少しずつ、ココロの整理がついて、いつかは、ケースケと、、、そんなこと、考えるようになるか、ならないか、ってところで、発覚した病。 結婚どころか、付き合い続けることすら、難しいと考えた私を、必死で、、、引き止めてくれたケースケ。 だけど。 未来に目を向けることなんてできない私。今、だけを、楽しもうと決めた私。 だけど。だけど。そっか。 ケースケは、まだ、私との、『未来』を考えてくれていたんだ。 こんなにも、早い、プロポーズ。 ケースケの中にある私への苦しいほどの想いに、息ができないほど、胸がつまる。 そして。 ・・・・とても、嬉しい。 うん。 嬉しい。私。 私の返事を、ただ、黙って待つケースケの瞳をしっかり見上げて、私は、言った。 「・・・ありがと、ケースケ。私、、、、すごく、嬉しい」 私の言葉に、ケースケの、頬に、喜びの笑みが広がる。ゆっくりと。そして、彼はいう。 「・・・じゃあ?」 期待をこめて、問い返す、ケースケ。 でも。 私は、ゆっくりと首を振った。 満面の笑みに変わり始めていたケースケの表情が、ピタリ、と止まる。 きっと。 最初は、十分にその答えを想定していたはずのケースケ。 なのに。 私の不用意なヒトコトが、ヘンに期待させてしまったから、必要以上に落胆させてしまっていることに気づいて、私は。 ・・・・ごめんね、ケースケ。 そう、ココロで思うだけで、泣き出したくなってしまう。 だけど、もちろん。 こちらが泣くわけにはいかずに、必死でゆる笑顔を作っていう。 「・・・だって、そんな、、、結婚なんて、する必要なくない?」
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