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2011.10.14
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そして、それは・・・・。

ここのとこ、病院のベッドで窓の外を見ながら、ずっと、ずっと、ずっと、考えてることがある。

そのことに、また、ココロが移動しそうになったところで、

「・・・ミリ?」

ケースケの声に引き戻される。はっと、ケースケの顔を見上げると、

「ここで、ムシはねーだろ?」

なんだかもう、苦笑顔で言う、ケースケ。

・・・ムシ?

そっか、私、返事もしてなかったっけ。

「・・・ごめん。なんか、ぼーっとしちゃってた」

小さく舌を出して謝った私に、ケースケはオオゲサにのけぞって、

「このタイミングでありえねー。俺、これ以上ないくらい必死で言ってんだけど」

最大級の苦笑をくれる。私は、微笑んで、

「ごめん。分かってるよー。ていうか、そのあまりのアツサになんだかココロがついてかなくて」

そういうと、ケースケは、

「んだよー、俺がどんな思いで、準備したとおもってんだよ。相変わらず、ひでーなー」

口をとがらせたけど、本気で怒ってるわけではもちろんなく、もう、今日は、い~よ、ていうアマい目をくれる。ケースケ自身も、キンチョーが解けたみたいに少しほっとした表情で。私も、・・私だって、少し、ほっとして、言う。

「だって、ケースケは、準備してたかもしれないけど、こっちは全然ココロの準備できてなかったもん。プロポーズされるなんて思ってなかったもん」

「全然?」

「全然」

「鈍感」

「ひどーい」

「俺がキンチョーしてんのも気づかなかったのかよ?」

「んー、確かに、ちょっと、ヘンだとは思ったけど、まさか、こんなこと考えてくれてるなんて思っても見なかったもん」

「んっと、鈍感」

「だってー。。。。」

「だって、なんだよ?」

「だって、そんなこと、、、、結婚なんてこと、もう、考えてもなかったから」

自分で言って、胸がギュッと痛む。少し唇を噛んだ私に、ケースケはアマい声で言う。

「・・・じゃあ、せめて、考えてみてくれよ。待つから。いつまででも。・・・・な?」

・・・考えても考えても、答えはきっと変わらない。

だけど、それでも、考えるくらいはしなくては。

そうすることが、こんな優しいケースケの思いに少しでも答えることになるなら。

その優しい瞳にひかれて、肯いた私に、ケースケは、ほっとしたように息をついて、静かに抱き寄せてくれる。その愛情の大きさに、そしていつもどおりの申し訳なさに、身を縮めていると、何かを感じたらしいケースケが、不審げに私を呼ぶ。

「なぁ、ミリ」

胸の中にいるまま、少しくぐもって聞こえる声に、

「なあに?」

「・・・・きっと、考えても答えはもう変わんないって思ってね?」

「・・・・・」

・・・何も隠せないな。

そう思って、苦笑して、ふっと息がもれる。

「・・・やっぱり」

たしかに微笑んだ声で、ケースケは、いいながらも、一瞬強く私を抱きしめる。

その一瞬の力にこめられた思い。

・・・・ごめんね、ケースケ。

ココロに浮ぶのは例によってその言葉ばかり。

ケースケは、力を緩めて、私を腕の中から出して、もう一度顔を覗き込んでくる。

「1%でいいから、イエスの可能性を残して、考えてくれないか?」

ただ穏やかにそう告げるケースケ。

1%のイエスの可能性。

そうだよね。

それは、きっと、自分のためにも。

1%くらい、イエスと答えることについて考えてみてもいい。

「ったく、しょうがないなー。・・・・いいよ」

私は、にっこり笑って、ゆっくりと肯いた。

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最終更新日  2011.10.14 16:43:36
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