ヤガミ姫と言う 美人が居るらしい、と噂を聞いたヤソガミたちが
腹違いの弟をお供に ヤガミ姫に求婚するため、
因幡の地へ向かっていた。
「おい、オオナムチ、もたもたしてると 置いて行くぞ。」
「兄さん、荷物を少し 持ってくださいな。」
「だめだ、おまえは 供だ。荷物を持つのは 当然だ。」
兄たちは 身軽なので さっさと先に行ってしまいました。
しばらく行くと、誰かの泣き声が 聞こえました。
泣き声の主は 白い兎でした。
(ゲスト ゆずくん)
兎は 服をはぎ取られ 傷だらけで泣いていました。
「おお、かわいそうに。どうして、そんな姿になったのだ。」
「私は隠岐の島と言うところに 住んでいましたが
こちらに渡るのに 船も無く、 泳ぎもできず 困っていました。
それで、ワニ(鮫)にお前の仲間と私の仲間
どちらが多いか、数えてみよう。と言い
島からここまで 並ばせて、背中を数えながら 渡ってきました。
渡り終える前に 「おかげで、こっちに渡れたよー。ありがとー。」
と言ってしまいました。怒ったワニは私の服をはいで
みんなに 痛めつけられました。」
「なんと、頭の良い!おっと、嘘のむくいだが、災難だったな。」
「そのうえ、さっき通りかかった えらそうな方々に
塩水で体を洗い、日光で乾かすと 傷が治ると教えられました。
そうしているのですが 痛くて 痛くて、泣き叫んでしまいました。」
「なんと、それは かわいそうに、
傷の手当なら、川の水で洗い、ガマの花粉を付けると良いぞ。」
兎はオオナムチの言葉を信じ、言われたようにすると
傷はすぐに 治りました。
「ありがとうございます。さっきの いじわるな神様たちは
ヤガミ姫と 結婚できません。
ヤガミ姫と結婚できるのは オオナムチ様です。」
と言って どこかへ 行ってしまいました。
(なんで、知ってるのかな? まさか、ヤガミ姫 本人だったりして・・・)
つづく
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オオナムチは七福神の大黒様ともいわれています。
大黒様は本当はヒンズー教の マハーカーラと言う神様です。
神仏の習合の時代 風貌が似ているのでいつの間にか混じったようです。
次のお話は みんなのあまり知らない オオナムチ様のお話です。
白ウサギは因幡の神社に祭られています。
はくと
白兎神社
大黒さまと白うさぎの神話で知られ、「古事記」「日本書紀」にも記されている由緒ある神社である。
神話にゆかりの白兔神を祭り、皇室の紋章である菊花を型どった菊座石が社殿の土台に使われている。
神社の前には、いかなる旱天・豪雨にも水の増減がないという「不増不滅の池」があり、神話によればこの池で、皮をむかれた赤裸の白兔が真水で身体を洗い、ガマの穂でくるんだ、といわれている。
鳥居をくぐり、石段を上った右手には、言語学者、北里翁の詠んだ「ワニの背に似たる岩見ゆ蒲ならぬ、浪の花散る気多の岬に」の歌碑が立っている。