スサノオの家へ着いた オオナムチは 出迎えたスセリ姫に
いきなり 恋をしました。
結構、女好き?
えー、ヤガミ姫は? と聞きたい 方々も多いと思いますが。
話を続けます。
「お父様、私の夫にぴったりの 麗しき男性が訪ねて来ました。」
「なぬ、そいつは 葦原色許男(スケコマシの事)じゃ。
もう、わが娘に手を付けるとは 腹が立つ。
そうだ、へびの部屋に泊めてやろう。」
スセリ姫はオオナムチに こっそりと布きれを渡しました。
「この布を振ると 蛇が寄って来ません。」
涼しくなるような、蛇の部屋でしたが、
布きれのおかげで眠ることができました。
次の日は、ムカデと蜂の部屋に泊められました。
ここでも 布きれのおかげで 刺されず寝る事ができました。
「うーん、なかなかやるな。そうだ、外に連れ出そう。」
外で 矢を放ったスサノオは
「おい、色男、あの矢を 拾って来い。」
「はい。」
相変わらず、素直なオオナムチは野原に放った矢を見つけに
行きました。
すると、スサノオが火を放ち、
オオナムチはあっという間に火にかこまれてしまいました。
もう駄目か、と思った時、ネズミが出てきて言いました。
「ホラ ホラ、ズブ ズブ」
オオナムチが一歩踏み込むと、ズボッっと 野ネズミの穴に落ち
炎を避けることができました。
子ネズミたちが スサノオの矢を持ってきました。
「お腹がすいて、少したべちゃった。」
オオナムチが かじられた矢を持って、スサノオの屋敷にもどると
スセリ姫が泣いていました。
オオナムチの帰還に びっくりしたスサノオのですが、
結構、見込みがあるかもな。と思い始めました。
「おい、色男、私のシラミを取ってくれ。」
快く引き受けた オオナムチも びっくり!
スサノオの頭には ムカデも… ぞー・・・プルプル
スセリ姫はこっそりと、木の実と 粘土を渡しました。
木の実を噛んで 粘土と混ぜて
カリ、ポイ ベチャ。カリ、ポイ、ベチャ。
「俺のシラミを取れるとは、大したものだ。うんうん・・・・・」
頭をさわられて、気持ち良くなった スサノオは
ウトウトと眠ってしまいました。
眠った間に スサノオの髪を柱に 縛りつけ、
家宝の 生太刀 生弓矢 天の詔琴を持って、
スセリ姫と手に手をもって 屋敷を逃げました。
駆け落ちですか。若いですね。
ところが、出口で 琴をぶつけてしまい、
大きな音を立ててしまいました。
大きな音に 目覚めたスサノオは
柱を引っこ抜き 二人を追いかけました。
「おのれ!俺の大事なものを 持って行きおってー。
娘も、宝も お前にくれてやるから、
馬鹿な兄共を退治して 必ず娘を幸せにしろよー。」
あー。親の心ですね。どこの父も 娘を取られる時は
こんな心なんでしょうね。 ・・・ウル ウル (T_T)
二人は兄たちを やっつけて 出雲に 大きな屋敷を構えました。
ところで、ヤガミ姫は?
ヤガミ姫も オオナムチの子を産んだのですが、
本妻のスセリ姫が怖かったものですから、
木の股に子供を置いて因幡に帰ってしまいました。
他にも 嫁を取ったそうですよ。
現代だったら、大変なスキャンダル。
でも色男ですから、もてたんですね。
つづく
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家宝の 生太刀 生弓矢 天の詔琴 と読んだとき 横溝正史の犬神家の一族という
小説を思いだしました。小説では 斧、菊、琴、でした。
神話の世界の話は おとぎ話や、小説、漫画などに取り入れられている事が あります。