WANDERER

交わしたはずのない約束に縛られ
破り捨てようとすれば後ろめたくなるのは何故だ
手巻きの腕時計で永遠は計れない
虚しさを感じても手放せない理由がこの胸にある

たとえ鬱が夜明けに目覚めて
獣のように襲いかかろうとも
祈りをカラスが切り裂いて
流れ弾の雨が降り注ごうとも
この街の空の下
あなたがいるかぎり僕は逃げない

人形の家には人間は住めない
流氷のような街で追いかけていたのは逃げ水
いろんな人がいて　いろんなことを言うよ
「お金が全てだぜ」と言い切れたならきっと迷いも失せる

みんな愛の歌に背つかれて
与えるより多くを奪ってしまうのだ
乾いた風が吹き荒れて
田園の風景を砂漠にしたなら
照りつける空の下
あなたはこの僕の傍にいるだろうか？

たとえ鬱が夜明けに目覚めて
獣のように襲いかかろうとも
祈りをカラスが切り裂いて
流れ弾の雨が降り注ごうとも
この街の空の下
あなたがいるかぎり

僕はきっとシラフな奴でいたいのだ
子供の泣く声が踊り場に響く夜
冷蔵庫のドアを開いて
ボトルの水を飲んで　誓いをたてるよ
欲望が渦を巻く海原でさえ
ムーン・リバーを渡るようなステップで
踏み越えていこう　あなたと

：キリンジ　Difter：