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■ フルリクライニング車いすの思い出 ■
フルリクライニング車いすが発明されたのは、 もう最低でも20年以上昔のことです。 発明したのは多比良(現ピジョンタヒラ)というメーカーで 当時介護衣料を製造していた会社です。 当時は、ハラキンという会社が 「セミリクライニング車いす」という車いすを販売していました。 セミリクライニング車いすは、形状がちょっと変わっいて 薄目のソファのように、長いコイルが横に入っていてクッション性がよく 座ると身体が少し沈み、背中をリクライニングすることが出来ました。 サイズは通常の車いすとあまり変わらないくらい。背が少し高かった。 これに背中と脚部を連動させ、サイズを大きくほぼ水平になるように 「フルリクライニング車いす」にしたのが、当時の多比良でした。 これがまた画期的な製品で、 「座位の取れない方はベッドで寝たきり、移動はストレッチャー」と いう常識を打ち破り、寝たきり状態の方もベッドから移動して 食堂で皆とご飯を食べたり、老人ホームの行事を楽しんだり、 通院もかなり楽になりました。 多比良の製品以外にも、各車いすメーカーが参入して 様々なフルリクライニング車いすが販売されるようになりましたが 20年以上経過して、多比良以上に丈夫な製品を製造したメーカーは 存在しない気がします。 各社共に壊れる部分に癖があります。 今は亡き皇太后に製品を提供した某社製品は、 介護施設での13年間の使用で背と座をつなぐ鉄のパイプがちぎれました。 同時期に納品した製品が1~2年の間一斉にちぎれたので、 耐久年数としては13~15年くらいで限界なのかも知れないです。 (金属疲労によるもの。現在は設計が変わっているという事ですが) また某社では常に肘掛け、リクライニングのシリンダが、 またある社では背と座をつなぐ金具が壊れると言った製品毎の特徴があります。 通常型の車いすに比べて、車体に負荷がかかるフルリクライニング車いすは 特にはっきり結果が出てくる感じです。 ここで多比良のフルリクです。 平成の御代になっても初期型が活躍しているのをまれに目にすることがあります。 この製品は多比良が設計し、製造しているのはある医療器械メーカーですが ある時HCRに出展していらしたので、ちょっと聴いてみました。 「いやもう、設定した耐久年数なんかとうに終わってるし 金属疲労が心配なので止めて欲しいんですよね国立病院さんとか」 「でも、壊れないからね」 「リクライニングワイヤーとブレーキワイヤー以外あんまり壊れないんですよね」 足踏みブレーキも溶接も簡単な修理可能なレベルで 「安全に関わる決定的な部分は壊れないしね」 リクライニングワイヤ・ブレーキワイヤはどの製品も定期的な交換が必要です。 この「安全に関わる決定的な部分は壊れないしね」というのが重要で リクライニング機構が壊れた例を私は知りません。 たぶんこの辺は設計の勝利と言える部分なのかなあと思います。 多比良はピジョンタヒラと社名を変えましたが、 フルリクライニング車いすは健在です。 外見は変わりましたが、横にスプリングが入った弾力性のある 背クッションと壊れにくい車体は今も変わらないので 丈夫なフルリクをください。と言われたら私はピジョンタヒラの 製品を勧めています。お高いですが。 フルリクについては、「安物買いの銭失い」がはっきり見えてくる製品なので ある程度の価格帯を選んだ方が長期的には耐久性と安全を買ったことになります。 又、フルリクは介護施設の部屋の構造や、介護技術、使用者の体格に よっても選択を変えた方が良いので、いちがいにピジョンタヒラ製品を 勧めたりはしません。 ホームによってお気に入りが違うのもフルリクの特徴かな~と思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.10.08 10:59:56
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