小林多喜二「蟹工船」に思う
小林多喜二「蟹工船」に思う 1929年、昭和4年の小林多喜二の「蟹工船」という本が若者に読まれてベストセラーになっているそうだ。口コミで広がり若者たちが自分たちの労働状態とおんなじだと言っている。 多喜二は「蟹工船」を書くのに当時の蟹工船へ出向き実際乗船していた漁夫に取材して小説を書いたが、その内容は日本の当時の資本主義の恥部をあえて書きとても信じられない残酷な労働実態を暴露した。 その残酷な労働実態の暴露に衝撃を受けたが、それは事実であり当時の新聞にも蟹工船の残酷な恥部は知られていた。 「おい、地獄さ行ぐんだで」という書き出しでいきなり蟹工船の生臭い世界に引きずり込む。船内の船員部屋は密室でたこ部屋の中に人間を投げ込む。朝も昼もない、荒波のオホーツクに投げ込まれた漁夫は、凍てつく氷と雪の中で水しぶきを浴びて働きずめる、 その姿が現在の派遣社員の身の上と合致する。人ではなくものとして扱われて イキナリ車に乗せられ運ばれて、どこぞの倉庫に放り込まれて携帯を持った見知らぬ人間に指示されて働かされ、怒鳴られ歯向うと、すぐ首切られ約束の賃金も 与えられない。医療保険証もなく年金もない雇用形態でまるで蟹工船の中の状態は、とても今日の労働状態ではなく、とても信じられない資本主義の恐ろしい牙に噛まれた恥部の数々が、多喜二の 世界とまるで同じなのだろう。多喜二は漁夫が語れない数々の事実をかき集め資本主義の悪魔を暴露した。徹底した事実の暴露に時の権力は、この小説を発行禁止にしたが、この本は口コミで広がり、ついには世界中で読まれた。 この本が80年近くの今日復活したことに乾杯である。こみあがる感動に人間の英知に乾杯である。 読み出したら止められず蟹工船の漁夫と生きることになるすばらしい本だ。 ぜひ読んでください。あなたも、、、。