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2006年06月12日
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カテゴリ:仕事の話し

今日は、うちで以前お預かりしていたY君のお話しを


Y君はうちの団体が出来た頃から居る寮生でした
来て間もない頃、目を見開き
「大変です!うちの団体が攻撃されます!狙われているんだ!大変だぁ~!」と言い出し、夜、救急病院に緊急入院したのですが、診断結果は統合失調症でした
頭がぼーっとすると薬を飲みたがらず、自分は大した病気じゃないと思っていたようです
しかし、薬を飲まない期間が長くなると必ず言動がおかしくなるのです


しばらくして退院が認められ、活動し始めました
ある日、「豚肉のモモのブロックを買ってきて」とおつかいを頼みました
するとY君が買ってきてくれたのは「牛肉のロースのスライス」
私はY君の買ってきてくれた牛ロースのパックを手に「何ひとつ合ってないじゃないですか…」
と心の中でつぶやいていました


そんな彼が好きな人が出来たと言うのです
しかも向こうも自分のことを好いているとも
あ~、それはめでたい!めでたい!と相手を聞くと、「あれ?その子って彼氏いるじゃん…」
告白し、その時は「お友達でいましょう」と言われたが、仕事の最中自分をチラチラ気にしていて、「絶対向こうは自分のこと好きだと思うんですよ、いえ好きなんです!!」
あれれ?
おかしいぞ
私的にはその女の子から、Y君に追いかけられて困っていると相談も受けているんだよなぁ…
Y君に、それとな~く彼女はあなたのこと好きじゃないみたいよと伝えました
しかし、「そんなことない!絶対自分のこと好きなんですよ!メールでも告白したんだけど、恥ずかしがって返事くれないんです!」と譲らない
その後も何時間も掛けてあの手この手で説明しても聞き入れないのです
困っちゃったのはこっちだよ… また夕飯食べそびれているし、トホホ…と思いつつ、もう思い切って彼女には彼氏がいる、Y君に追いかけられて困っていると相談も受けているんだよとぶっちゃけました
それでも「恥ずかしがっているんだ!どうやって彼女との仲を進めればいいですか?」
って、何でそんな相談になっちゃってんだよ~


それからY君は納得しないまま、バイトをするから一人暮らしをすると言い出し、急遽、隣駅にアパートを借りて引っ越して行きました
そして引越しを手伝った若者からの報告で
「ドラッグストアにシャンプーとか洗剤を一緒に買いに行ったら、コンドームはどれがいいか相談されちゃったけど、Y君大丈夫?」
って、お~い!! ルンルンでコンドーム選んでんじゃね~よぉぉぉ


さてそれから一週間後のある日、Y君がフラフラ~と遊びに来たのです
あれれ、困っちゃったなと思い、意中の彼女を避難させてから、話しを聞こうとすると人の顔を食い入るように眺めて、口を鯉のようにパクパクさせているだけなのです
目を見開いて、瞬き一つしない状態
もうこれは危険な状態だと思い、すぐに救急病院に連絡して受け入れをお願いし、車に乗せて病院へ出発しました
車に乗って数分すると「俺の頭の中で声がするんだ!ほら、聞こえる!やめろ~!」と言い出し、私の頭の中は「あぁ、もう、ハチャメチャにやばいっすよ!やばいっすよ!」という自分の声がグルグルしていますよ~、と思っている間にも彼の状態はどんどん悪くなっていく
そして車が一時停車した途端、Y君が後部座席から前に馬乗りになってやって来て、前のドアから道路に飛び出してしまったのです!
高速道路並みに交通量が多い、歩道のない道路だったため私も咄嗟に飛び降り、必死に追いかけました
事故にあったらどうしようと必死に「待って~!止まって~!」と泣きながら追いかけました
その場にいた車の運転手さんは「な~にやってんだ、ありゃ」という顔で私たちを不思議そうに眺めていました
そりゃそうですよね
目見開いた若い男の子がなにやら喚きながら走っているのを、後ろから泣きながら変な女が追いかけているんだから
しかし、私はそれどころじゃない
しかも慌てていたので携帯も車の中に忘れてしまった!
車を運転していたスタッフにも連絡が出来ず、それからなんと3時間ぶっ通しで追いかけました
マラソンランナーの辛さをその時初めて知りました(涙)
ほんで、3時間も追いかけて捕まえられたのかと思いきや、逆に追いかけられてしまいましたwwww
というのも、私は疲れ果ててY君に「もう疲れた!帰る!勝手にどこでもいきやがれ~!!」と叫んで、くるっと反対方向に歩き出したのです
そして100mくらい離れたところで、ふと心配になり振り返ってみると、Y君が目を見開いた状態で私を追いかけてくるではありませんか!
ひょえ~怖い~!と私も走り出してしまいました
しかし、Y君は驚くべきスピードで、あっという間に私に追いつき何をされるのかと思ったら、やおらお尻を触りだしたのです
え?なに?
きょと~んとしている私を尻目に、Y君は目を見開いて、必死にお尻を触っている
急に恐ろしくなって、「ぎゃあぁぁぁぁ」と大声で叫んでいました
するとY君は、びっくりしてまた逃げ出しました
もう追いかける気力は、私にはぜ~んぜんありまへんでした


それから数時間して、正気を取り戻したY君は自ら迎えにきてくれと電話してきました
戻ってきた彼はその後、救急病院に救急車で搬送されました
病院に着くとまた発狂してしまい、ベットに拘束帯で縛り付けられ、鎮静剤を打たれてやっと落ち着きました
その様子を見ていた親御さんはボロボロと涙をこぼされていました
親御さんは先生から病気の説明を受けていましたが、実家に居た頃から統合失調症の診断を受けていたにも関わらず、この病気の治療の重要性を初めて実感されたようでした


その後、2ヶ月ぐらい入院していましたが、退院の日に好きな女の子に電話をしてきて、東京駅で待っているから来てと言ったそうです
もちろん彼女は行きませんでした
Y君は退院と同時に実家へ戻りましたが、私たちに彼女との仲を引き裂かれたと言っているそうです


このように彼女も自分のことが好きと思い込んでいたり、私のお尻を触ったりしたのは、彼の人格がそうさせるのではなく、病気がそうさせるのです
私も何人かの統合失調症の若者を見てきましたが、薬を飲まない期間が長くなり、そこに何か大きなストレスがかかると発症しやすく、発症すると一つのことにこだわりを見せます
それがY君の場合は恋愛や性欲だったのです


Y君が調子が良い頃は、私たちと一緒によく居酒屋にお酒を飲みに行っていました
少し天然のY君と楽しくお酒を飲んだのを覚えています
Y君は実家に戻り、遠く離れてしまいました
「あの時、Y君私のお尻むんずと掴んでさぁ」なんて、またみんなと楽しくお酒を飲みながら笑い話が出来る日が来ることを願ってやまないのだ



…ひょえ~今日も長いなぁwww





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Last updated  2006年06月15日 00時20分09秒
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