記憶の中の猫
嫉妬だったのだろうか他愛のない悪戯だったろうか幼いころ家で猫を飼っていたのをぼんやり覚えている気がつけば猫はいなくなっていた幼心に尋ねてみれば山に捨てたと言うその時は随分と可哀相な事をしたものだと親を恨んでもみたものだまた分別がついたころ尋ねてみたところ驚くべく事がわかった眠っている自分の口を幾度となく猫は前足で塞いでいたと言うのだ何度叱ってもやめないので何かあっては大変だと山に捨てたと言う先に可愛がられていたのに後から現れた赤子が愛情を独占したのを疎んじ嫉妬したのか或いはなんて事はない他愛のない悪戯だったのか今となっては知る由はないが朧げに浮かぶあの頃の猫にノスタルジックを感じては想いを馳せてしまうのだ